ライドシェア「安全確保が大前提」 全面解禁巡り三重県知事ら国交相に要望

【斉藤大臣(右から2人目)と面談する一見知事(左端)ら=国交省で】

 タクシー事業者による管理の下で一般ドライバーが客を運ぶライドシェア(自家用車活動事業)の「全面解禁」を巡る議論に絡み、全国知事会長の村井嘉浩宮城県知事や一見勝之三重県知事らが13日、安全性の確保を前提とするよう求める要望書を斉藤鉄夫国土交通大臣に提出した。

 要望書は、過去の規制緩和によるバス事故を教訓に、全面解禁を巡る議論は「安全の確保を大前提とすべき」と強調。地域の実情を踏まえ、全国一律の拙速な規制緩和は避けるよう求めた。

 一方、来年の大阪・関西万博では「一時的な移動需要の急増でタクシーが著しく不足することが想定される」と指摘。円滑に移動できる手段の確保に向け、対応策を講じるよう求めた。

 要望書は、政府がタクシー会社以外の参入を認める全面解禁に向け、法制度の議論を進めることを受けて提出。全国知事会の国土交通・観光常任委員会による議論を経て要望をまとめた。

 この日、一見知事は斉藤大臣との面談で「利用者とドライバーの安全、安心を確保してほしい。お年寄りや子どもなど、アプリを使えない人にも配慮した制度設計をしてほしい」と述べた。

 さらに、新たな法制度の検討に当たっては「拙速を避けてほしい」と要請。観光地へのアクセス性を高めるため、志摩市内で今夏にもライドシェアの実証を予定していると改めて紹介した。

 斉藤大臣は「移動の足を確保することを目的に取り組んでいる。地域の実情に耳を傾け、労働条件も含めて丁寧に議論したい」と返答。「全国知事会をはじめ、地域と連携したい」と語った。

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