「トー横キッズ」らの新たな居場所となるか「こども若者シェルター」で検討会 たまり場になる?課題も こども家庭庁

いわゆる「トー横キッズ」と呼ばれるような家庭に居場所がない子どもに、宿泊場所などを提供する事業「こども若者シェルター」について初めての検討会が開かれた。

法律の専門家などを交え親権などについて課題を整理する。犯罪に巻き込まれるケースが相次ぐ「トー横」や「グリ下」に集まる子どもの“新たな居場所”となるか、注目される。

5月、歌舞伎町の「トー横」エリアで深夜に外出していたとして、14歳から19歳までの15人が警視庁に補導された。その際、取材中の記者に言いがかりをつけた疑いで暴力団組員らが逮捕されるなど、「トー横」に出入りする少年少女と暴力団関係者らとの繋がりも浮き彫りとなった。

こうした「トー横キッズ」が、性犯罪や薬物事件などに巻き込まれるケースは後を絶たず社会問題となっている。

子ども達の安全な居場所を

2024年度に新たに創設された「こども若者シェルター・相談支援事業」は、「トー横キッズ」のような家庭に居場所がない子どもに宿泊もできる安全な居場所を提供する事業だ。

これまで虐待に苦しむ子どもの避難先は、児童相談所の「一時保護所」やNPO法人などが運営する「子どもシェルター」などが一般的だった。しかし入居者の安全を確保するために携帯電話の使用が制限されるケースがほとんどだ。保護者への連絡や自由が制限される生活を好まない子どもは多く、結果として「トー横」などに流れてしまい犯罪に巻き込まれるケースが問題となってきた。

たまり場になるリスクも

「こども若者シェルター」は実施主体は自治体で、NPO法人などに運営を委託することが可能だ。しかし運営団体の関係者は「児童相談所の関与を嫌がる子どもを対象にすると、子ども達のたまり場となり、飲酒や薬物を行う可能性がある場所になってしまうだろう」と懸念する。

また「トー横」で若者の支援にあたってきた団体は「未成年は親権が優先されるので、支援者が少年・少女に手を差し伸べても誘拐になってしまう」と支援の難しさをあげた。ある自治体の関係者は「関心はあるが、リスクも高いので、法律の立て付けをどう整理するのか気になっている」と話した。

こども家庭庁によると、現時点で実施している自治体はないという。こども家庭庁は、検討会で、法律の専門家のほか、シェルターを運営している団体、自治体や当事者などと議論を重ね、親権との関係などを踏まえた適切な対応のあり方を整理し、自治体に手を挙げやすくしてもらいたいとしている。

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