“6月病”梅雨でストレス増 退職代行で「サイレント退職」も

東京も間もなく梅雨入りとなるこの時期、特に職場において注意が必要な「ある事象」についてお伝えしていきます。まずはこの「労働者の82.2%」、この数値が何を示しているかというと、仕事や職業生活に関することで強い不安や悩み、ストレスを感じている労働者の割合が82.2%となっています。

厚生労働省の調査によりますと、その内容としては「仕事の量」が36.3%、次いで「仕事の失敗等」が35.9%となっていて、職場においてほとんどの人が何かしらのストレスを抱えているのが現状です。

そうしたなかで注意が必要なのが、いわゆる「6月病」です。4月からの新生活で溜まった疲れなどがゴールデンウイーク明けに体調不良として現れる「5月病」は馴染みがあると思いますが、職場において「6月病」も警戒が必要だということなんです。専門家に話を聞きました。

スマート相談室 上田氏:「4月5月の人事異動や入社後の研修期間が終了後に配属された部署で適用することが難しくなっている方が、6月になって辛さを自覚する、梅雨がある地域だと日照時間が減って気分が落ち込んだり、祝日がなかったりもするので、見通しがもてなくなってしんどくなってしまう」

法人向けのカウンセリングサービスで、精神保健福祉士として日々カウンセリングを行なっている上田さんによりますと、6月は新生活の疲れが溜まった上に人事異動などもある時期。そして梅雨で日照時間が少なく外での活動も減るほか、祝日もないなど、複数の要因からストレスの発散が難しく、肉体的にも精神的にも不調になりやすい時期だということです。

また新型コロナの流行によって生まれた変化も、社会生活において不調を招く一つの要因だと分析しています。コロナ禍を経てリモートワークが普及したり、職場での会議がオンラインになったりと、ちょっとした愚痴や相談など雑談をする機会が減ったことで、コミュニケーション全体が希薄となりストレスを溜め込みやすい職場環境になったのではと上田さんは分析しています。

そうした環境により起こりうるとしているのが、「サイレント退職」です。初めて聞く言葉だという人も多いかもしれませんが、コロナ禍をきっかけに近年SNSなどでアメリカを中心に話題となった言葉で、いま世界中で広がりをみせているこの「サイレント退職」に注意が必要だと上田さんは警鐘を鳴らしています。

スマート相談室 上田氏:「メンタルの不調はなかなか職場で言い出しづらい文化がまだまだあるので、上司や同僚に見つからないように本人はすごい辛さを耐えて耐えて耐えて、ばれないように本人も頑張り過ぎてしまっている、そしてある日突然プツっと切れて退職に至ってしまうというのがサイレント退職かなと」

きのうまで笑顔で挨拶をしていた社員が、実は人知れずメンタル不調に陥っていて、わかりやすいSOSを出すことなく突然「退職」という選択をするケースもよくあるということなんです。

そうしたなか、会社を辞める意向を本人に代わって伝える退職代行業者では6月に入ってから相談が相次いでいます。

退職代行モームリ 谷本代表:「6月の最初の平日で140件の依頼をいただいている。ゴールデンウイーク明けの7日が173件だったので、それに劣らないぐらい依頼いただいている。6月にもなると人間関係だったり労務関係、そういったのが顕著に出てくるので、それを感じて退職をされる方が多い印象」

こちらの業者では6月になってから6月13日時点で4千件を超える相談が入っていて、既に800件を超える退職代行が確定。5月を超えるペースだということです。

谷本代表:「間違いなく雨の日っていうのは依頼が多いんですね。やっぱりメンタル的にちょっと落ちているときというのは、何をやっても辛く感じてしまうので、天気がかなり日と比べると雨の日だったり台風の日だったりっていうのは、体感で約1.5倍近くになってる」

ストレスを多く抱える現代社会において、我慢を重ねた思いが些細なことをきっかけに溢れてしまい、退職に至ることもあるといういわゆる「6月病」。これまで延べ1万件以上のカウンセリングを行なってきたという上田さんは、まず「メンタル不調は誰にでも起きうること」という認識を社会全体でもつことが重要だとしていて、会社でも社員同士が相談し合える環境、そして職場の外でも相談の場を設けることが大事だと話しています。

時代の流れもあり、会社の飲み会を誘うこともいわゆるアルハラとなったり、コミュニケーションも業務以外のことはやりとりがしづらかったりということもあるのが現状です。だからこそ日頃からのコミュニケーションを大切にして、些細な変化に気づけるよう、関係性を構築していくことが大切だなと改めて感じます。

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