GPS誤差を「100分の1」に縮めるRTK技術とは–自動農耕やロボットカーに革新も

GPSなどの衛星測位システムは、今や社会の基盤だ。しかしその誤差は5〜10mほどあり、自動運転車や自律ロボットなどの制御に用いる場合、その精度は必ずしも十分とは言えない。

そこで注目されているのが、GPSの誤差を数cm単位まで縮小するRTK(Real Time Kinematic)だ。GPSの信号に対して、地上局から補正情報をかけて誤差の低減を図っている。

独自に3300以上の基準点を設置

ソフトバンクが提供する「ichimill」(イチミル)もRTKサービスの1つだ。ソフトバンクが独自に設けた3300以上の独自基準点から補正データを送り、GPSの誤差を100分の1、つまりおよそ5cm程度に縮める。また、携帯基地局などを活用して基準点を高密度に配置しており、基準点をまたぐような長距離移動でも途切れずに利用できる。

この高精度測位によって実現するのが、移動システムの運転制御だ。農地を耕すトラクターや建設機械についてもcmオーダーで制御できる。また、自動運転車では走っている車線の識別も可能だ。

どの車線を走行したかも的確に捉えられる

活用の幅は移動システムに留まらない。地面に埋まっている配管の位置も記録できるなど、幅広い活用方法が想定されるという。

水道管の位置把握への活用も

2024年1月に開催された「中之島ロボットチャレンジ」では、大阪万博に向けた自動ゴミ回収ロボットのデモンストレーションとして、合計14台のロボットが歩道を自律走行したが、その際にichimillが役立てられた。

ichimillを活用したロボット

RTKサービスは、ジェノバのほか、NTTドコモなども提供している。日本では人手不足が課題となるなか、あらゆる分野のDXに役立つと期待されている。

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