SNSでつながり性被害…中学校の運動部外部コーチが女子生徒と性的関係 養護教諭に相談…なぜ、発覚後も1カ月継続

長野県の松本市立の中学校で運動部の外部コーチの男性が、部員の女子生徒と性行為をするなど不適切な関係になり、退任していたことがわかった。市教委は外部コーチの位置づけが曖昧だったとして、今後、教職員に準じた研修などを実施する考えを示した。

2人で車で外出、性的関係

6月13日、松本市教育員会は記者会見を開き、伊佐治裕子教育長は 「中学生がこういう形で被害を受けてしまったことはショッキングだった」と述べた。

生徒と不適切な関係になっていたのは、松本市の中学校の運動部で外部コーチとなった30代の男性。

2023年5月から6月にかけ、部員の女子生徒とSNSで個人的に連絡を取り、2人で車で出かけたり、性行為をしたりしていたという。

なぜ、発覚後も1カ月ほど指導継続

男性が既婚者だったため、生徒が関係に悩み養護教諭に相談して発覚した。

学校や保護者はすぐに警察に相談したが、男性はその後、1ヵ月ほど指導を続け、8月になって退任。 しばらく指導が続いたことやこれまで公表しなかった理由は「警察の捜査のためだった」としている。

伊佐治裕子教育長は「(警察に)これは重大な案件であるが、今の時点でSNSに載っている情報などが削除されると証拠隠滅につながる恐れがあるということで、外部指導者に接触することは避けたほうが控えた方がいいと助言をもらっている。事案として立件してもらうために学校側が協力してきた。指導者が入る時は、学校の校長、教頭、ほかの教員が立ち会って監視をしていた。(当時は)大きな大会が控えていることもあって、強化のために呼んだ外部コーチを外すということが、周りにもどうしてだろう?と出るかもしれない、証拠を隠滅されるかもしれないという思いもあった。一番最善の道を探ったことが、結果としてそうなった」と釈明した。

男性は学校が直接契約した外部コーチで、土日を中心にボランティアで指導していた。 契約の際に、学校長の面談はあったが、生徒との距離の保ち方など教職員に準じた研修は行われていなかった。

伊佐治裕子教育長は「外部指導者という立ち位置が曖昧であった、曖昧であったがゆえに見逃していた部分があった。SNSでつながったことが原因で性被害が起こってしまったことは申し訳なく思う。このことが二度とないように努めていきたい」と述べた。

市教委は今後、外部指導者に対しても、研修を実施し、再発防止に努めるとしている。

「研修の強化が必要」意見相次ぐ

部活動の地域移行が進む中で起こった今回の不祥事。

長野市で開かれた部活動の地域移行に関する協議会でも、出席した学校関係者などから「研修の強化が必要」とする意見が相次いだ。

長野県中体連の小笠原重光会長は 「登用する前の研修、登用後の研修を重ねていく必要あるだろう。ボランティアの外部指導者には、ほとんど研修の機会が与えられていなかった、そういう方々を対象にした研修会が開かれていくことが理想ではないか」と指摘した。

また、千曲市教育委員会の山根義夫事務局長は 「指導者研修は十分必要だが、多くの方が普段働いている反面、(実施には)とても難しさがある」と話した。

長野県教育委員会の曽根原好彦教育次長は 「生徒と教員が密室で2人きりにならないとか、SNSは一切禁止とか学校で決まっているルールを教員は守っているが、外部指導者にも確認してもらって必ず守ってもらうようにする」といった考えを示した。

外部指導者の資質をどう担保するか。

協議会でも今後、不祥事防止に向けた取り組みを検討する方針だ。

(長野放送)

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