米沢市街地出没、クマの“足取り”判明 東の山経由→最上川河川敷を南下し…

 米沢市中心部で相次ぐクマの出没を受け、市や地元猟友会は移動経路を調査している。昨年7月と今年5月に出没したクマの前後の“足取り”を調べたところ、市東部の山を経由し、北部の最上川河川敷に入り、川沿いを移動して市街地に現れた可能性が高いことが13日、市などへの取材で分かった。県や市はクマが市街地に入るのを防ぐため、川沿いの樹木を伐採するなど、対策を進める方針だ。

 市によると、調査はクマの生息域とみられる山間部のポイントと、市街地周辺を含め、クマの目撃情報があった地点などを基に進めている。昨年と今年の2件だけでなく、2019年以降の目撃報告も踏まえ、約50件の事例を分析し、市街地に現れたクマの足取りを割り出した。今回判明したのは、同市と高畠町との境界にある一念峰(一年峰)と、同市長手の古館山、浅川の戸塚山方面を通り、市北部の最上川河川敷に入ったとされるルートだ。その後、草木が生い茂る川沿いを市中心部方面に南下し、市街地に出没したとみられる。生息域に戻る復路も同じルートとみている。

 約50件の分析の結果、市中心部に出没するクマは1歳半~2歳程度が多いと推定されている。親離れして間もない個体で、山と人里の境が明確ではない場所もあり、距離感をつかめず、縄張りや餌を求め、動き回るうちに市街地にたどり着く―というケースが多いとみられる。

 山から人里へ、クマは草木が生い茂る河川敷や里山を移動しているとされる。市街地へ入るのを防ぐには、最上川河川敷の支障木撤去などが必要となっている。県や市は今回の調査結果で得られたルートを中心に、クマ対策としても河川敷の管理を進めるとしている。市環境課の担当者は「クマと遭遇し、人的被害が発生する危険性もあり、移動経路を参考にして有効な対策を打ち出したい」と話した。

市街地中心部を流れる堀立川そばに出没したクマ=昨年7月7日、米沢市

© 株式会社山形新聞社