楽天モバイル、児童福祉施設向け法人サービスの事例を公開

by 本多 恵

児童養護施設に入所している高校生のスマートフォン所持率(左)/全高校生のスマートフォン所持率(右)

楽天モバイル株式会社は、全国の児童福祉施設への支援活動として、スマートフォンの所有が難しい子供に向けた法人サービスを2023年3月より展開している。同社は、6月10日に香川県の児童養護施設 亀山学園と奈良県の社会福祉法人天理 天理養徳院における法人サービスの導入事例を公開した。

内閣府の調査によると、全高校生のスマートフォン所持率は98.9%となっている。一方、スマホ里親ドットネットの調査では、児童福祉施設に入所している高校生のスマートフォン所持率が69.3%であった。

同社は、契約時の付き添い・契約状況の管理・予算確保の3点が障害になっていると分析している。ベネッセ教育総合研究所の調査によれば、児童福祉施設の入所者の87%がスマートフォンの通信費を自分で払うという現状があるという。

児童養護施設入所者の87%が通信費を自分で払っている

これらの状況を受けて同社は、児童福祉施設の名義で契約が可能な法人サービスを展開している。保護者が不在などの事情で個人契約ができない子供も施設名義で法人契約が可能だ。利用料金に関しては、契約事務手数料を無料にするほか、データ無制限やデータ専用プランなど、複数の低価格プランを用意している。また、複数回線を一括で契約することも可能で、Web管理ツール上で子供の利用状況を管理し、利用状況に応じて契約プランを変更できる。

「楽天モバイル」の法人サービスのポイント

児童養護施設 亀山学園では、一般的な中高生に比べて施設の生徒のスマートフォン所持率が低い現状を課題と考え、法人契約を締結。36名の中高生のうち、33名がスマートフォンを所持できるようになった。同学園の担当者は、「保護者の同意や親権者の代理として施設が契約するという手続きが必要なく、簡単に契約ができた」と語っている。

児童養護施設の名義で、33名の中高生がスマートフォンを契約した

一方、社会福祉法人天理 天理養徳院では、保護者が通信費を負担できず、自分で通信費を支払う必要がある生徒は、ギガ数の多いプランを選べず、外でスマートフォンを十分に使えない不便さがあった。しかし、法人サービスの利用によって、30GBのプランが利用可能となり、外出時でもスマートフォンで気兼ねなくコミュニケーションができるようになったという。

30GBプランも利用可能となり、スマートフォンでのコミュニケーションが活性化した

楽天モバイルは、児童福祉施設向けの法人サービスを通して、すべての人が簡単にスマートフォンを契約できるサービスを目指していくとしている。

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