小池都知事「AIゆりこ」公開に「予算いくら?」あふれる困惑と疑問…再開したXはコメント4つだけの “わびさび”

本人そっくりな「AIゆりこ」(Xより)

6月13日、東京都の小池百合子知事が自身の「X」を約1年半ぶりに更新。生成AIによる自身そっくりの「AIゆりこ」を公開し、話題を呼んでいる。

「みなさん、おはようございます。この動画は、わたくし『AIゆりこ』がお届けします」

そんな呼びかけで始まる動画は、1分23秒という長さ。勝負服の緑色のジャケットを着た「AIゆりこ」が、ニュースキャスターに扮し、身振りをまじえ、都政の取り組みを紹介する。発声は少々たどたどしく聞こえるものの、小池氏の肉声とよく似たものだ。

動画とともに、投稿にはこんな説明がつづられている。

《※これまでの都政での取り組みをわかりやすく広く伝えるために、生成AIによる動画を作成しました。現職都知事として公務に邁進している小池ゆりこ本人に代わって、AIゆりこがお伝えします》

小池氏は前日の12日、任期満了にともなう都知事選(20日告示、7月7日投開票)に3選を目指して立候補する意向を表明。その翌日に公開された「AIゆりこ」に「X」では賛否が渦巻いた。

《1. まず「AIゆりこ」というネタみたいなネーミングで話題を作る 2. 話題に釣られた人たちに実施した政策をアピールする 3. AIゆりこ自体はAIの活用実績としてアピールできる 微塵も隙がない》

《これ、どこの企業が関連していていくら税金使ったのか 今、それ必要なのか?》

《非公式AIゆりこ、AI蓮舫とか、AIドクター中松が勝手に作られてあることないこと拡散されたらこれはなかなか…》

立憲民主党の米山隆一衆院議員は13日、自身の「X」でこう疑問を投げかけた。

《いくら予算がかかったのか分かりませんが、AIで語る合理性がゼロというか、普通に自分の口で語ればいいし、語るべきだと思います。なんだかなぁと。》

《これから選挙戦で出てくる小池氏の画像も、都政で使われる画像も、時には議会や記者会見すらも、AIでやるぞ、との宣言にも見えますし、今後小池氏の画像を見ても「AIでは?」との疑念が沸く事になります。そう言う都知事を、我々は求めているのでしょうか?困惑を禁じ得ません。》

小池氏の「X」での投稿には、変化も見られる。

2022年12月31日の《門松とシクラメンが届きました》との投稿には、批判的な声も含め、7400超のリプライ(コメント)が寄せられているが、約1年半ぶりとなる「AIゆりこ」に寄せられたリプライは4件のみ。

自分がフォローしているアカウントのみ返信が可能なように、リプライを制限しているのだ。

小池氏は翌14日、自身の「X」に「AIゆりこ」の第2弾となる動画を公開。《なお、AIゆりこは東京都の事業ではなく、税金は使用していません。》と投稿した。

都知事選を前に、「X」での動きを活発化させる小池氏。初回の「AIゆりこ」の投稿は827万超も表示されたとはいえ、ポストは1日2回でリプライも制限されていることから、“わびさび” 感もある。あくまで「自分発信」専用のツールとして、「X」を利用していくということだろうか。

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