ニコニコ動画、サービスの復旧に1ヶ月以上を要するとの見通し

ドワンゴは、大規模サイバー攻撃による同社サービス不具合についての調査報告を実施。同社の提供するニコニコ動画を含むサービスの復旧には、1ヶ月以上を要するとの見通しを明かした。

同社の発信する調査報告によると、6月8日午前3時30分頃、「ニコニコ」サービス全般で正常に利用できない不具合が発生。調査を始めたところ、ランサムウェアを含むサイバー攻撃によるものと認められた。

同サービスは、パブリッククラウドサービスに加え、KADOKAWAグループ企業が提供するデータセンター内に構築されたプライベートクラウドサービスを利用しており、この内、グループ企業のデータセンターがランサムウェアを含むサイバー攻撃の対象に。相当数の仮想マシンが暗号化され利用不能に陥り、同社ウェブサービス全般のシステムが停止する事態となった。

プライベートクラウド内サーバーの遠隔シャットダウン後も、さらに遠隔からサーバーを起動させ感染拡大を図るといった行動が観測されており、その対策としてサーバーの電源ケーブルや通信ケーブルを物理的に抜線し封鎖。さらなる感染拡大を防ぐため、同社社員の歌舞伎座オフィスへの出社を原則禁止とし、社内ネットワーク、社内業務システムも停止しているとのことだ。

このサイバー攻撃において、ニコニコ動画のシステム、投稿された動画データ、動画の映像配信システムについては、パブリッククラウド上で運用されていたため、被害を受けていないと同社は説明。その一方でニコニコ生放送の映像配信を司るシステムはグループ企業のプライベートクラウド上で運用されていたため、過去のタイムシフト映像などが使用できない可能性があるという。

復旧あたっては、封鎖したサーバーの中身を1つずつ確認して、無事なデータを救出。救出したデータを使って安全な環境下でニコニコ動画とニコニコ生放送のシステムを再構築する作業を要するとしている。「正確な復旧時期は被害状況の調査結果次第」と前置き、1ヶ月以上かかる見込みだと同社は説明。再開できるサービスから順次再開していく予定だと案内している。

なお本日15時より、復旧策の一環として新バージョン「ニコニコ動画(Re:仮)」をリリース。視聴可能な動画を制限し、現在は「エアーマンが倒せない(TEAMねこかんversion)」「バラライカ」など、2007年の人気動画が視聴できる。サービス停止中はアカウント無しで利用可能となっている。

「あの頃」の動画を楽しめるニコニコ動画(Re:仮)をリリース

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