宇宙飛行士が国際宇宙ステーションで減圧症?–訓練音声が誤って流れ、地上で騒動

国際宇宙ステーション(ISS)の宇宙飛行士が減圧症に苦しみ、地上の医師からアドバイスを受ける――。このような緊迫した状況が、米国時間6月12日に誤って米航空宇宙局(NASA)からライブ配信された。ニュースで報道され、SNSでも話題となってしまった。

ライブ配信されたのは、減圧症に苦しむ宇宙飛行士に「速やかに宇宙服に着替えさせ、純酸素を投与し、海上に着水して地球に帰還した後に、緊急低圧治療のためスペインの病院を訪れる」ように航空医(フライトサージャン)がアドバイスをするというものだ。

その後、ライブ配信で音声が誤って公開されたことに気づいたNASAは、「ISS内で緊急事態は発生していない」と、X(旧Twitter)で釈明した。「シミュレーションのいかなる部分も現実のものではなく、ISSの乗員も医療訓練には参加していない」

誤って公開された音声は、クルーと地上チームが宇宙でのさまざまなシナリオを想定した訓練用のシミュレーション。シミュレーションの音声は「フライトサージャンが交通渋滞に巻き込まれている」とリアリティあふれるものだった。

加圧空間で生活する宇宙飛行士にとって、減圧症は非常に現実的なリスクだ。宇宙飛行士は船外活動の際に加圧宇宙服を装着し、無気圧な宇宙空間でミッションを行い、加圧された居住空間に戻り初めて宇宙服を脱ぐことになる。

6月5日に宇宙遊泳準備中にMichael Barratt氏(右)とMatthew Dominick氏(左)の船外服をチェックするTracy Caldwell Dyson氏(出典:NASA)

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