増加する“シニア婚” 「人生をもっと豊かに」人生100年時代を生きる私たちに与えられた新たな選択肢

KTNに残るアーカイブ映像とともに、長崎の歴史を振り返る「タイムトラベル長崎」。“ジューンブライド” 6月は結婚について注目。近年、中高年で結婚・再婚する数が増加傾向にある中、シニア世代の結婚には余生を彩る穏やかな日々があった。

「思い残すことはない」シニア婚

1986年長崎市の諏訪神社で十二単に身を包み、おごそかな式を挙げる新郎新婦がいた。

当時、新郎は82歳、新婦は62歳で年齢はあわせて144歳。大学の名誉教授と茶道の講師の2人は1年間の交際を経て結婚。諏訪神社の宮司(当時)だった旧友の計らいにより平安絵巻風で式を挙げた。

新婦・富子さん(当時62):
82歳と62歳だから随分歳をとっていますが、美しい言葉で優しい感情で最高にいい家庭を築いていきたい。

新郎・風野晴男さん(当時82):
何年生きるかわかりませんが。

シニア世代の新たな旅立ちは長崎市のグラバー園が舞台になったことも。

2019年、バージンロードを歩くのはどちらも70代の新郎新婦だ。小学校からの同級生だった2人が還暦の同窓会で再会し、お互い彫刻家として仲を深め、ゴールイン。

新婦・佐々木和子さん(当時74):
あとは思い残すことはない、冥途のみやげ。

新郎・佐藤敏彦さん(当時73):
人生は生きることが大事、あと残りどれだけ生きられるかわかりませんが、できるだけほがらかに時々けんかしながらやっていきたい。

増加するシニア婚

「人生をより充実させたい」「年をとって一人では寂しい」と結婚・再婚をするシニア世代は時代とともに増加傾向にある。

長崎県の統計によると婚姻数に占める中高年の割合は、2001年は男性(51歳以上)が3.7%、女性(49歳以上)が2.8%だったのに対して、2010年には男性が5.7%、女性が3.9%と増えている。背景には平均寿命が伸び続けていることや未婚のまま過ごす人が増えていることなど様々な要因が考えられている。

最高齢は89歳 中高年の縁を繋ぐ会

2011年、そんな中高年の縁結びをサポートする会が長崎・西彼杵郡時津町に誕生した。

美容室を経営する山崎富子さんは店の隣に50歳以上の縁結びをサポートする「長崎出逢いのよつ葉会」を設立し、月に一度のお見合い会を開いていた。山崎さんは27歳で結婚、二人の息子を授かったが結婚7年目で離婚。その後は再婚せずに美容師として多忙な日々を送る毎日だったが1人で生きていく不安もあり、自身も新たな伴侶を探していた。

山崎富子さん(当時61):
若いころは健康だったが体が弱くなれば病気を考える。1人は心配で(設立を考えた)。伴侶がいないと1人で生きていくのは大変。

――未来の伴侶に向けて一言お願いします

山崎富子さん(当時61):
長崎のみなさん、ぜひ私を探してください。

あの日から13年、富子さんはいま

未来の伴侶に向けてメッセージを送っていた山崎さん。2011年の取材から13年。

2024年5月「よつ葉会」そして山崎さんはその後どうなっているのか、本人に会いに行ってきた。

放送から4年後に今のご主人と再婚。美容室は再婚を機に息子夫婦に任せ、ご主人と旅行に出かけたり、年に一度のカラオケの発表会に出たりと共通の趣味を楽しみながらのんびりと過ごす毎日のようだ。

――放送後(2011年)の反響は?

河野富子さん(74):
放送後、電話があって入会者が毎月たくさんの人が集まった。

最高齢は89歳、多い時には150人近い会員が登録していた。富子さんが設立したよつ葉会は2011年から2017年まで活動を続け、6年間でおよそ80組が結婚した。

河野富子さん:
付き合った人はもっと多かった、色々な人と知り合えたのはすばらしい。若い人の出会いの場はあるけど年寄りの出会いの場はあまりない、ありがとうって感謝された。

2024年に74歳となった富子さん。長年の夢だった海が見える家で暮らし、500坪ある敷地内でビワや梅などを育てている。今年からは養蜂もはじめ、愛犬とヤギと愛する伴侶を得てスローライフを満喫している。

河野富子さん: (――にぎやかですね)何もなかったら寂しい、ワンちゃんもいるしヤギもいるし、蜂もいるし。こういうことをしないと田舎のよさがない、できることはなんでもしようかなと。

人生100年時代。いつの時代もいくつになっても幸せな人生を歩むたくましいシニア世代の姿があった。

(テレビ長崎)

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