【インタビュー】格闘家デビューが発表されていた“初代タイガーマスクの息子”に何が起きたのか?本人が語る新たなビジネスと父への親孝行

“初代タイガーマスク・佐山サトル”の息子である佐山聖斗は、2020年まで外資系広告代理店で働きながらプロバスケットボールチーム『江東フェニックス』に所属し活躍。
だが佐山サトルが新たに佐山道場を設立すると入門し、会社を辞めて格闘家への道を歩み始める。2021年3月には佐山サトルが設立した修斗のリングにも姿を現し、同年の大晦日RIZINのリングに現れると2022年7月大会でのデビューを発表した。

しかしその後音沙汰がなく参戦は自然消滅状態に。その間に初代タイガーマスクのライセンス管理会社である『初代タイガーマスクネットワーク株式会社』を設立し、武尊とともに7代目タイガーマスクプロジェクトを発足するなど動いているが一体何が起きているのか?本人がその問いに答えた。

――まず会社を設立されましたがどのような経緯で設立されたのでしょうか?
「基本的には初代タイガーマスクのライセンス会社が世の中にない状態で今まで来ており、父親から手伝ってくれないかとお願いをされて約3年前に設立しました」

――その後順調にライセンス商品は世に生まれていったのでしょうか
「最初はアントニオ猪木さんでも創られた純金像から始まりました。高価格帯の物から始まり、今はTシャツなどのアパレルからゴルフグッズなどが続き、最近話題になったものだとカレーがありますね。『初代タイガーマスクカレー』というレトルトカレーで、中に現役時代の写真が使用されたカードが入っています。今はインターネットショッピングでも購入できます」

――会社を設立されて周りの方々の反響はいかがでしたか?
「当時RIZINの件もあって大きく会社を作った件を発表していなくて、口コミ程度で広めていきました。今は様々な方々からお声掛けいただき、コラボの企画をいただいています」

――今お話にありましたが、RIZINのリングに上がり参戦が発表されていました。その後怪我をして試合が流れたと記憶してますがどのような状況でしょうか?
「所属していた道場(佐山道場)が無くなってしまい、契約を道場で結んでいたので一度白紙になっている状況です。格闘技の練習も今は周1回か2回程度キックボクシングしかやれていないんですね。ほんとは父親がやってることを伝えたいという部分が大きかったので、それがもし今道場がなくて叶わないのであればあんまりそこを目標にしてはいないですね」

――RIZINに限らず修斗のリングにも上がられてましたが、今の自分が目指す格闘家の道はどのような方向なのでしょうか?
「やっぱり、父親が持っていた総合格闘技の考えやロジックとか、精神性であったりとかは今も勉強させていただいているんですけども、それを次に伝えられる媒体みたいな部分がずっと目標ではあるので、それが必ずしも試合に出るという事ではないと思ってますし、まだ僕は学ぶところからかなと思っています」

――お父様のように新たに団体を立ち上げるという事は考えますか?
「視野には入っています。道場も自分の方で作ったりとかも考えてますね」

――今回のビジネスを進めていくうえで苦労された点は
「やっぱり格闘技業界とプロレス業界の間というか、2つあわせて格闘技業界というのであれば格闘技業界独特の空気感・・・AがAではない、1+1が2じゃないという世界が面白いなと思いつつ(苦笑)父親がやりたかった事を体現してそれを支えているというスタンスはあるので、一応なにか(父とともに)考えを生み出す人を世の中にどう広げていくか、広げていくってカロリーを使う事だと思うので、そこはすごく今も戦ってます。」

――広げていくという点では、商品化とは別に7代目タイガーマスクプロジェクトも行われております
「初代タイガーマスクのヒーロー像がある。僕はプロレスラーでもなければ、そんなに名のある格闘家になれると思っていなくて、そんな僕が何を引き継がないといけないかって精神性とヒーロー像なのかと思ってます。自分がヒーローではないと思った時に、誰かが継いでくれないかと思っていたところに武尊さんと出会って。7代目タイガーマスクプロジェクトは児童養護施設の子どもたちへの社会貢献活動を慈善活動としてやっていて、これは仕事の部分というよりは、父親がやってきたことを武尊さんというリーダーが現れた事で、次のステップや次の世代に繋ぐためにやってることですし、やっぱり慈善活動やってると自分の心も安定しますね(笑)気持ちがいいです。なんかこう、自分が死ぬ時に『ひとのために何かやったし』って思える気がしていて、そこはすごくやっててやりがいを感じます。ほんとに仕事として次に繋げていくというものとは別軸として、自分の心の安定剤としてやってる部分はありますね。それで子供が笑ってくれたり喜んでくれる姿を見たら嬉しいなと」

――7代目タイガーマスクを武尊さんが受け入れてくれたことは大きかったですか?
「すごく大きかったと思います。もともとは武尊さんと父親が仲良くなって、やっぱり父親的には本当に強い心を持っている人間がやるのがタイガーマスクだと言っていて。武尊さんももちろん強い人間ですし人としての品格ももちろんありますし、あの人がリーダーで居てくれて僕もすごく嬉しいなって。たまに『聖斗くん7代目やんなよ』って武尊さんとお会いする前はあったんですけど、僕ごときができるものじゃないって気持ちでいなくちゃいけないなと思っていて。武尊さんで良かったなと思っています」

――7代目タイガーマスクプロジェクトはどのような会社さんに協力いただいているのでしょうか?
「今協賛いただいている会社さんは増えてきていて、もちろん武尊さんや初代タイガーマスクのファンの会社さんも応援いただいてはいるんですけど、現状でいま子どもたちに何が必要かを把握して捕らえてる会社さんは協力してくれていますね。そこはすごくいい仲間になれてると思います。協賛というよりは仲間集めが主になってる部分はありますね」

――昨年養護施設にケーキを配る活動や海外に学校を作るなどされていましたが、今年はどのような活動をされていたのですか?
「今僕がやっているのは全ての施設を回れたらと思っていまして、年内入って24ヶ所の児童養護施設に直接お電話してお伺いさせていただきました。タイガーマスクコンテンツはありがたいことにほぼほぼ断られた事がなく、必ずと言っていいほど受け入れていただいてます。初代タイガーマスクと武尊さんというネームバリューが大きいもので、しっかりと現場の声を持っていくことが大切だなと思っていて。大きいお金をドーンって回すだけではどうしてスキームが次に繋がらない。なのでちゃんと現場の肌感を知っていて今何が必要なのかを整理し、そこへちゃんとお金をいれる事ができる形を作っていきたいなと思っています。去年とは違う現場の声を収集するという活動をしていますね。その中で具体的に何が必要なのかを聞いて直接支援はしています」

――もし自分たちの養護施設に来てほしいという声があれば、初代タイガーマスクネットワークに連絡すればもしかしたら来てくれるかもしれないと
「もちろんです。そのスタンスでおりますし、逆に言うとこういうような社会貢献活動に興味のある会社様にもお声掛けいただきたいなと思っていて。そのために僕がプレゼンしに向かいますので。その中でただただ寄付だけではなくて色んな仕組みを作りたい。子どもたちって将来何になりたいかって質問を投げると『施設の職員さんになりたい』という子がほとんどなんですよ。見える世界が限られてしまっていて、色んな仕事があるというのを知らないパターンが多いんですね。これは僕もそうでして、父親がプロレスラーで母が接骨師なので一般企業に務めるということが最初すごく怖くてですね。サラリーマンになりますってなったさいに定時で行って出勤して定時で帰るというドラマで見るようなものがすごく怖くて。やっぱり知らないっていうのもあったんですけど、就職とか生きていく道が少なすぎる。知ってる道が少なすぎて現場に出向いていって『今こういう仕事あります!』って紹介するというのも是非やっていただきたいなと思います。もしそういった社会貢献に興味がある人いらっしゃいましたら是非是非ご協力いただきたいなと思っています」

――前職は代理店にいらっしゃいましたがその時の経験はいきていますか?
「いきていると思います。僕は資料作りがすごく好きで、プレゼンも好きなんですね。代理店時代は喋れなかったし資料も作れなかったし、とある先輩にボコボコにされてたんですけど(苦笑)辞める時ぐらいに資料作り楽しいなと思っていて。自分のやるべき事とかやりたい事、10個やりたいことあったらちゃんと資料化して他人に伝えるのが好きっていうのは結構自分の武器かなと」

――それが伝わって今徐々にライセンス商品も増えていっているわけですが、今までで一番売れた商品はなんでしたか?
「キャンビーさんがやっているTシャツか、初代タイガーマスクカレーですね。オリジナルカードが入っているのはもちろんなんですけどカレー自体が美味しくてですね。そこは結構良い反応でしたね」

――ファンの高年齢化が顕著だと思いますが、カレーを通じて子どもたちにも知ってもらえると
「そうですね。今回カレーはテレマルシェさんが協力して企画してくれたんですけども、やっぱり一応気にしてるポイントとして、認知度調査をこの前させていただいた時に45歳以上の認知度はすごく高いんですよ。その下をどうやって作っていくかというのを課題にしていて、カレーとかTシャツも一応ターゲットは45歳以上にしてはいるんですけど、若い世代の子どもたちに対してどうやって認知度を広げていくかって考えた時に今までと同じ展開をしていくわけには行かないなと思い、エッジが効いたというかパンチが効いたものを出し続けるというのを作戦としてやらないといけないなと。最近頭の中に入れて活動はしていますね」

――エッジの効いた高価格帯商品では最近スニーカーも出されていましたね
「なかなかパンチの効いた商品ではあるんですけど(笑)あれはGOWITHWHITEさんという白い靴に特化した単価の高いハイブランドな靴なんですけど、コラボさせていただきまして一足につきマスク職人の中村ヒロユキさんが作ったタイガーマスクワッペンがついてくるという見た目のパンチが効いたものにはなっています」

――飲食から衣類までピンからキリまでコラボされていますが、今後もコラボしたい企業が声を上げた場合はウェルカムな姿勢ですか?
「もちろんです。私が直接ご挨拶させていただいて進めていきますのでご安心ください。結構45歳以上の会社の方々は『タイガーマスク!懐かしい!』っていうのがインプレションの武器だったりするので、そういった部分でお声掛けいただければ何か一緒にできることはあるかなと思います」

――今他の会社でも働かれているとのことですが
「今株式会社アルコバレーノという会社にも所属しておりまして、そこに東出に、僕が道場がなくなってのたうち回っている時に助けていただいて、その会社に7代目タイガーマスクプロジェクトも支援していただきながらやってる感じにはなってます。アルコバレーノがやってる社会貢献活動をそういった部分でお手伝いさせていただいています」

――昨年ビジネスIT系の交流会などにも出演されていましたが、そういう場所でも異業種との出会いがあったりするのでしょうか?
「ありましたね。7代目タイガーマスクプロジェクトを今株式会社ジョイゾーさんという会社に応援いただいておりまして、そこから児童養護施設の子どもたちに対して授業を作ってもらったんです。ITのリテラシーや、Canva(キャンバ)っていうパワポやイラストレーターのような自分の考えを絵に起こすものを作ったんですけど、無料で使えるって部分と使いやすいという部分があって、こういったソフトがあることを知らなかったりもするので、教えながら社会的に有意義なものをジョイゾーさんと組んでやっていこうと。なので対子供に対しての社会貢献活動って企業が偏らないなぁって印象は持っていて、別にITに限らず建設会社様の現場を見るとか、考えるのは苦手な子達も体を動かす事は好きだったりするので、幅が広がってどのような会社様でもご協力いただけるなと思っています。なので色んな会社に繋がるって部分は楽しいですし嬉しい事だなと思っています」

――具体的に今このような会社様にご協力いただきたいというものはありますか?
「どこでもですね。僕らはお伺いしていきたい。プロレスとか7代目タイガーマスク武尊さん、初代タイガーマスク佐山サトルを好きってだけでもお声掛けいただければ、一緒にソーシャルイシューに対して挑戦してるって形を組む楽しみを感じ取ってもらえる方がいらっしゃったら嬉しいなと思います」

――今は仕事に打ち込んでいるようですが、トレーニングを続けているのは格闘家に戻るためですか?
「やっぱりうちの父親って打撃が大好きで、ベースはキックボクシングなはずなんですよ。一回キックの基本を学びながら、あとは教えてもらったことを反復練習する時間だけはとっておかないとなって。たまにアドバイスもらってます」

――いつでも格闘家に戻れますね
「総合に関しては自信がないですね(苦笑)全くやってないんで。でも、どっかで、また求められる時が来たらそうしようかなと思いますし。あとは父がもう少し元気になったらかなと」

――お父様の体調的な部分は
「良くなったり悪くなったりを繰り返している感じなんで、僕に練習教えてる時も一時期キツイんだろうなって時期ありましたし」

――将来にお父様の偉業を残していくというのは大事な事ですね
「そうですね。大事です。やってあげたいし親孝行でもありますし」

――今後何かしらSNSや動画で残していく媒体を作る構想はありますか?
「そうですね、今後Youtubeチャンネルを作る予定はありまして、各SNSを作っていこうとは思ってます。今月から撮り溜めていくので、7月か8月ぐらいから流していければなと思っています」

――改めて今後の初代タイガーマスクネットワークに関しての思いをお願いします
「ほんとに、初代タイガーマスクという不思議なコンテンツをもう一度僕は広げていきたいと思っていますし、ほんとは映画とか作りたいんですけど、なかなかそうは上手く行かないんですが、今は色んな可能性があるので商品の企画だったりだとかしていただければめちゃくちゃ前向きに健闘致しますので、かつ7代目タイガーマスクプロジェクトは社会貢献活動で慈善活動なので、そこは助けていただけると嬉しいなと思います」

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