美しい自然を満喫できる登山は、心身ともにリフレッシュできる素晴らしいアクティビティだが、その魅力の一方で天候に大きく左右されることもしばしば 。特に雨が降ると、すばらしい絶景や爽やかな空気を楽しめないどころか、憂鬱な気分になることもある。今回は登山中に雨に降られ、正直「しんどい」と感じた3つのことを紹介しよう。
■登山道が滑りやすくなる → 歩くときに細心の注意を払う必要がある
雨が降ると、当然のことながら足もとが悪くなる。登山道にある岩、木の根、木製の階段などは濡れるとより滑りやすくなるからだ。また地面がぬかるみ、泥が靴底の溝に入り込んだ場合にはさらにスリップするリスクが高まり危険だ。
路面が乾いているときは難なく歩けた登山道も、濡れた岩や木を避け、滑らないように細心の注意を払わなければならない。筆者はもともと怖がりの性格ゆえ、必要以上に神経を摺り減らすことがある。
歩幅を狭くしたり、足を置くときは真上から体重をかけたりするなど、基本的な山の歩き方を心がけ、焦らず慎重に進むことが重要だ。
■思いのほか、寒暖差が激しい → 体温調整が面倒
雨の中を歩いていると、レインウェアを着ていても首筋などから雨が入り服が濡れてしまうことがある。対処せずにそのまま歩き続けると、体温が下がり体が冷えてしまう。特に強風時には一気に体温が奪われ、最悪の場合は低体温症に陥ることも考えられる。
一方で気温が高い時期には、透湿性のあるレインウェアを着ていても、歩けば歩くほど汗をかいて体が蒸れ、暑さに耐えられなくなることもある。いずれにしても、体温調整するために、適当な場所を見つけてウェアを着脱する必要が出てくる。ただでさえ不快な暑さ・寒さに加えて着替えをするとなると煩わしいと思うことも……。
雨が予想されるときは、より速乾性のあるインナーや、通気性が高いレインウェアを選ぼう。また予備の衣類や防寒具、さらに濡れたものを入れるためのビニール袋を持参することも忘れずにしたい。体温管理を怠ると体力の消耗が激しくなり、思わぬ事故につながることもあるため、注意が必要だ。
■霧が発生し視界が悪くなる → 展望が望めないうえに遭難するリスクが高まる
雨が降ると霧や雨粒が視界を遮るため、遠くの景色どころか、数メートル先さえも見えにくくなり、遭難や転倒のリスクが高まる。また、せっかく稜線に出ても辺りは真っ白で展望が望めないことも多い。そのような幻想的な世界に心が浮き立つ瞬間もあるが、長い時間視界不良の中を歩くと、精神的に辛く感じる。
霧が発生したときはヘッドランプを使用し、出来るかぎり視界を確保しよう。また地図やスマートフォンは、ビニール製のケースに入れるなど防水対策をするとともに取り出しやすいところに収納し、こまめに自分の位置を把握しよう。
■雨対策をして安全に楽しもう
天気予報を確認し、雨予報が続くようであれば、山に行かないのが最善だ。とはいえ、山の天気は変わりやすく、晴れ予報だったにもかかわらず登山中に雨が降ることは珍しくはない。雨の日の登山は常に適切な準備と対策を行い、自然の厳しさを受け入れつつ、安全を心がけよう。