KADOKAWA、サイバー攻撃の影響を発表 経理・出版事業を優先対応

by 臼田勤哉

KADOKAWAは14日、同社グループのシステム障害の現状について報告した。サイバー攻撃により、8日よりシステムが止まり、グループ会社のニコニコだけでなく、グループの社内システムにも大きな影響を受けているが、ニコニコなどのWebサービスだけでなく。出版事業などの影響についても現状を報告している。

システム障害は、6月8日午前3時30分頃から同社グループの複数のサーバーにアクセスできない障害が発生。社内で分析調査を実施したところ、ニコニコを中心としたサービス群を標的とし、KADOKAWAグループデータセンター内のサーバーがランサムウェアを含む大規模なサイバー攻撃を受けたものと確認された。同日中に対策本部を立ち上げ、被害状況の全容把握と復旧に向け、調査と対応を進めているが、障害発生から約1週間経過した14日時点でも完全復旧の目処は立っていない。

被害の拡大を防ぎ、データを保全するため、データセンター内のサーバーをシャットダウンするなど緊急措置を講じた。そのため、同社グループ内の他サービス、事業活動や経理機能を管理する基幹システムの一部にも機能停止が発生している。

出版事業では、国内における紙書籍の受注システム、デジタル製造工場・物流システムの機能を停止。そのため、受注停止、生産量の減少と物流の遅延などで、出荷数量が減少している。

加えて、国内の紙書籍や電子書籍の編集・制作支援システムの一部機能が停止。一部新刊(紙書籍・電子書籍)の刊行や重版制作の遅延が見込まれる。

Webサービス事業は、「ニコニコ動画」「ニコニコ生放送」「ニコニコチャンネル」などのニコニコファミリーのサービス全般が停止。ニコニコアカウントによる外部サービスへのログインが不可能となっている。

MD事業でも、複数のオンラインショップにおいて、商品の受注不能や出荷の一部遅延が発生。経理業務でも、経理システムにも影響が及び、一時的に決済システムが機能停止状態となっているため、一部の取引先への支払いに遅延が生じる可能性がある。

復旧については、事業活動の根幹である経理機能の立て直しと、売上規模が大きい出版事業の製造・物流機能の正常化を最優先。来週以降段階的に実現させ、6月末を目処に、安全なネットワーク、サーバー環境の構築と基幹システムの復旧を目指す。

「ニコニコ」の復旧に向けては、安全な環境下でシステムを再構築する必要があり、1カ月以上かかる見込み。再開できるサービスから順次再開していく。

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