「大阪の会場に友人の幽霊が」稲川淳二の怪談ナイトが今年も

日本に怪談を定着させた立役者・稲川淳二が、今年も全国を4カ月かけて回る怪談ツアー『稲川淳二の怪談ナイト~怪談喜寿~』を開催。タイトル通り、このツアー中に77歳の喜寿を迎える稲川が、6月13日に大阪市内で記者会見をおこない、32年目の夏に向けた意気込みを語った。

32年目となる『稲川淳二の怪談ナイト~怪談喜寿~』を開催する稲川淳二(6月・大阪市内)

■「今年は『怪談っていいもんなんだなあ』という感じ」

1993年以来、稲川自身の大病も震災もコロナ禍もものともせず、毎年開催されてきた怪談ツアー。稲川が全国から集めてきた、とっておきの怖くて不思議な物語の数々を、巧みな話芸で語っていくライブは、世代を超えてファンが多い。2023年は、ある社会事件絡みのシリアスな大作で観客を驚かせたが、今年はその反動で「怖くて楽しくて懐かしい」という、稲川怪談の原点に戻った新作を届けるそうだ。

「昨年の話は殺伐としていたけど、今年は『怪談っていいもんなんだなあ』という感じで行きたいんですよね。荒唐無稽な乾いた恐怖ではなく、怖さや不思議さが、妙なロマンにつながる怪談がそろいました」と解説。各話の内容は明かさなかったが「人間ってどんなに怖くて辛いことも、時間が経つと懐かしいことに変わっていくんです。そんな遠い昔の景色が現代と重なる、懐かしいけど、決して古くない話ができたら」と希望を語った。

■ 今年で77歳「早いなあ、と思います」

今年で77歳を迎えることについては「早いなあ、と思います」と一言。「年の半分は怪談を語って、半分は怪談をまとめたりしていると、あっという間なんですよね。もう残りは短いのかなあと思うので、誠心誠意を込めて『怖いけどなんだか楽しい、居心地がいい』というものを、残していけたらうれしいなあと思います」と、まだまだ意欲的な言葉を。

32年目となる『稲川淳二の怪談ナイト~怪談喜寿~』を開催する稲川淳二(6月・大阪市内)

そして77歳になって初めての舞台が、たびたび「私の怪談を作ってくれた」と明言している大阪の地。「大阪だけは、昔からずっといっぱいお客さんが入っていた。喜寿ということで、関西のファンの皆さんには、いいおかえしがしたいなあと思います」とコメント。さらに話の流れで「実は大阪の会場には、友人の幽霊が何度か出てまして・・・」と、即席の「怪談」が始まってしまう場面もあった。もしかしたら今年の夏も、思わぬ不思議が会場で起こるかも?

関西は、8月22~25日に「森ノ宮ピロティホール」(大阪市中央区)、10月9日に「大阪RUIDO」(大阪市中央区)、10月20日に「アクリエひめじ 中ホール」(兵庫県姫路市)、10月27日に「なら100年会館 大ホール」(奈良県奈良市)で上演。チケットは前売6600円、当日7000円。「大阪RUIDO」のみ前売6000円、当日6500円(ドリンク代別途必要)。チケットは現在発売中。

取材・文・写真/吉永美和子

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