嫌なことがあると気持ちを切り替えられない子の対応方法は?サポートの例をご紹介!【発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK】

嫌なことがあると気持ちを切り替えられない

ちょ っとした出来事ですぐに泣き出したり、パニック状態になったり。その後も気持ちが切り替えられず、いつまでも大騒ぎしてしまいます。

例えば、こんな状況

積み木でお家を作ろうとしているHちゃん。あと少しで完成……というところで崩れてしまい、ひっくり返って大声で泣き続けています。

あなたならどうする?

1.少し落ち着いたときに「くやしかったね」と共感する

2.パニック状態のとき「静かにしよう」と抑止する

【解説】おすすめは1!

子どもが感情をあらわにしているとき、「早くこの騒ぎを鎮めなくては!」と保育者も焦ってしまいがち。しかし、パニック状態の子どもへ感情的に関わるのは逆効果になることも少なくありません。

保育者はできるだけ冷静さを保つことを意識し、タイミングを見計らって関わる方が効果的でしょう。

考えられる背景

「こんなの嫌だよ、つらいよ、悲しいよ!」

くやしさや不安、恐怖、驚きといった感情で頭がいっぱいになってしまい、泣くことでしか気持ちを表現できないのかもしれません。

こんな声かけ&サポートをしてみよう!

感情が静まるタイミングを見定めよう

即座に泣き止むことや、理由を話すことを要求するのは難しく、まずは感情の鎮静化をサポートすることが優先です。少し泣き声が小さくなる、体の動きが減るといったタイミングで「そうそう、その調子」などとさりげなく褒めましょう。

保育者がそばで構い続けると、逆に気持ちを切り替えにくくなるケースもあるので、少し離れて見守ることも選択肢に入れましょう。

考えられる背景

「もう止めたいのに、涙があふれてきちゃう」

感情のコントロールがうまくいかず、もう終わりにしたいと考えていても、気持ちがついていかないという可能性もあります。

こんな声かけ&サポートをしてみよう!

「終わりの言葉」で切り替えをサポート

気持ちを切り替えるために、きっかけが必要なことも。保育者が「泣くのはおしまい」「怒るのは終わり」といった短い一言をかけ、言葉で気持ちに区切りを付けることを教えましょう。一つの感情にも終わりがあり、永遠に続くわけではないことが伝わるはずです。

また、ティッシュペーパーをゴミ箱に捨てるなど、簡単な用事をお願いすると気持ちが切り替わることもあります。

ほかにもたくさん!サポート声かけ例

・上手、上手

・プンプンの時間はこれまで!

・(子どもが落ち着いてから)言葉で教えてね

・〇〇をお願いできる?

【出典】『発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK』著:湯汲英史

【書籍情報】
『発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK』
著:湯汲英史

幼稚園や保育園で言葉や行動や少し「気になる子」はいませんか?落ち着きがない、ずっとボーっとしている、「わからない」が多く、会話が成り立たない、すぐウソをつく、他の子や保育者をベタベタ触る……など。そのような気になる行動や言葉を発する子どもたちのサポート法を多数の声かけ例とともに丁寧に解説。また、「気になる子」の周りの子どもたちにも焦点をあて、周りの子どもたちや親御さんへのフォローや対応策のほかにクラス全体が過ごしやすくなる環境づくりのアイデアを提案します。そのほか、園でのスムーズな連携の仕方や有効的な記録の取り方など、今すぐ実践したい保育で役立つ情報を豊富に収録。保育学生さんや新米保育士さんだけでなく、改めて「気になる子」のサポートについて考えたいベテラン保育士さんなど多くの方にぜひ手に取っていただきたい一冊です。

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