NHK、ネット配信必須業務化に向けた取り組みを説明。新たに始まる “番組関連情報の配信” とは

NHK(日本放送協会)は、インターネットを通じた番組などの提供をNHKの必須業務とすることを盛り込んだ改正放送法が今年5月に成立したことを受け、改正内容や今後の取り組み予定などを整理する説明会を開催した。

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改正放送法の第20条では、NHKの必須業務として「放送番組のネット同時配信」および「見逃し配信」、「番組関連情報の配信」の3つが追加されている。このうち番組関連情報とは、“放送番組の内容と密接な関連を有する内容の情報”であり、“当該放送番組の編集上必要な資料により構成されるもの” と定義されている。

NHKでは、ネット配信の必須業務化に対する基本的なスタンスとして、「視聴者・国民において、放送経由でも、ネット経由でも、同等の、変わらない、同一の価値、同一の受益をもたらすこと」「ネットでのみ受信している場合にも、テレビで受信している場合と相応の費用負担をお願いすること」を明言。

これらを踏まえてネット配信では、テレビ放送した番組の同時配信/見逃し配信をはじめ、ニュース番組の文字起こしの掲載、災害時にNHKが取材した地域ごとの情報をまとめた「災害情報マップ」の掲載といったような、時系列にとらわれず情報を発信できる“ネットならではの特性に合わせたコンテンツ”を提供する見込み。反面、放送では視聴できない“ネットオリジナルのコンテンツ” を制作することはないとした。

ただし、大リーグをはじめプロスポーツ中継など、権利の関係から放送/ネット配信のどちらか一方で提供できない番組は発生しうるとも説明。そうした提供できる番組の差はなるだけ最小化できるように検討を進めていくとしつつも、放送/ネット配信の価値の公平性は、番組単位ではなく、サービス全体で等しくなるよう調整していくという。

また、「番組関連情報」として配信する具体的な内容については、9月~10月を目処に「業務規程」として定義し、総務大臣に届け出および公表予定。その後、内容が適正かどうか検証を進めていく。

業務規程は「公衆の要望を満たすために必要かつ十分であること」「公衆の生命または身体の安全の確保のために必要な情報が迅速かつ確実に提供されることが確保されるものであること」「公正な競争の確保に支障が生じないことが確保されるものであること」という3つの要件を満たすよう定められている。

NHKでは、業務規程策定プロセスにおいて3つの要件に適合することを担保する仕組みを構築していくと説明。既存の放送番組審議会の機能や、インターネット活用業務審査・評価委員会の役割を参考にした検討体制によって対応していくという。

なお、NHKが従来提供してきたネット配信サービスのうちNHKオンデマンドについては、改正放送法で新たに定められた内容とは別の「任意的配信」に位置付けられており、今後も継続して運営していくという。

受信契約については、現在と同様に世帯単位の契約を続けていく構えであり、すでに家庭で受信契約を結んでいるのであれば、スマートフォンなどでネット配信を利用するごとに追加で受信料を請求する、といったことにはならないという。

その一方、受信契約していないにも関わらず番組を視聴できる、いわゆるフリーライドへの対策は必要と認識しており、方法などについて検討していくとした。

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