【J2前半戦5トピックス総括】「4敗はすべてアウェイ」清水の想定外、降格枠「3」で早いタイミングでの監督交代が頻発(#1)

攻撃の中心・乾貴士のケガでの離脱も響いたが清水はアウェイで4敗  撮影/中地拓也

J2リーグは6月15、16日の第20節から後半戦に突入する。そこで、前半戦の戦いから5つのトピックスを選び、後半戦の見どころをお伝えしていく。(#1、トピックス1~3)

■【トピックス1】優勝候補の清水の「想定内」と「想定外」

前半戦を首位で折り返したのは、清水エスパルスだった。前半戦の19試合は14勝1分4敗で、勝点43を積み上げた。昇格の目安は試合数の2倍の勝点と言われており、ここまでは「想定内」といったところだろう。

昨シーズンのチーム得点王MFカルリーニョス・ジュニオが、わずか1得点なのは「想定外」だっただろう。MF乾貴士も4月下旬から3週間ほど離脱した。それでも9節から7連勝を達成したのは、FW北川航也が得点ランク2位タイの9ゴールを記録しているからだ。

前半戦の「想定外」はもうひとつある。アウェイゲームの勝率だ。4敗はすべて敵地で喫したものなのである。負けたのは2位のV・ファーレン長崎、3位の横浜FC、5位のレノファ山口FC、それに14位のモンテディオ山形だ。16節の横浜戦は17分、18節の山口戦は14分に先制され、序盤のビハインドがそのまま敗戦につながっている。

攻撃力に自信を持つ清水は、追いかける展開でも慌てない。自分たちのペースで試合を運んでいくが、山形戦、横浜戦、山口戦は無得点に終わっている。

秋葉監督はアウェイゲームの戦いについて、「色々なアイディアはある」と話す。失点後の数分間はハイパワーで挽回をはかる、などの対策が求められるだろう。

■【トピックス2】千葉は昨年のパターンを踏襲するのか

昨シーズン20位で残留した山口が5位、同18位のいわきFCが8位、J3から復帰した愛媛FCが10位と、前半戦は前評判が高くなかったチームの躍進が目についた。一方で、昨シーズン5位の山形が14位と出遅れ、同6位のジェフユナイテッド千葉は7位で折り返した。

小林慶行監督が就任2年目を迎えている千葉は、リーグ最多の39ゴールを叩き出している。8節の栃木SC戦でJ2クラブ最多の8得点を記録し(8対0)、16節の愛媛戦でも7対1で大勝するなど、攻撃力を爆発させた。一方で、7敗のうち5敗が1点差負けで、そのうち3試合は無得点と、得点力に波があった。

不安定な戦いぶりこそは、勝点を伸ばしきれなかった要因である。とはいえ、首位の清水とは勝点13差、2位の長崎とは勝点9差だ(長崎は消化試合数がひとつ少ないが)。首位と勝点22差の17位で折り返した昨シーズンに比べれば、J1自動昇格圏は近い。

その昨シーズンは、後半戦だけで勝点43を稼いだ。猛烈な追い上げでJ1昇格プレーオフ圏へ滑り込んだ再現はなるのか。4勝2分4敗の五分に終わったアウェイの勝率をあげることが、ひとつのポイントになりそうだ。

■【トピックス3】降格枠「3」が下位チームの危機感を煽る

今シーズンからJ1、J2、J3が20チームで統一され、J2からJ3への自動降格枠が「2」から「3」へ増えた。

だからなのだろう。監督交代へ踏み切るチームが例年より多く、そのタイミングもまたいつも以上に早い。

まずは7節終了時点の3月末で、1勝1分5敗の最下位に沈んでいた徳島ヴォルティスが吉田達磨監督を解任した。増田功作ヘッドコーチが暫定的に監督に就任し、のちに正式に監督となった。

次に動いたのは水戸ホーリーホックだ。13節を終えて19位に沈み、濱崎芳己監督が解任された。森直樹ディベロップメントコーチが監督に就いた。

翌14節が終了すると、最下位のザスパ群馬が大槻毅監督との契約解除へ動いた。さらに翌15節の結果を受けて、19位の栃木SCが田中誠監督と柳下正明ヘッドコーチとの契約を解除した。田中監督は今シーズンから指揮を執っていたが、成績不振による解任の連鎖から逃れることができなかった。後任には経験豊富な小林伸二監督が指名された。

15節からJ3降格圏の18位から抜け出せない鹿児島ユナイテッドFCも、17節終了後に決断を下す。大島康明監督を解任し、過去に采配をふるった浅野哲也監督に再建を託すこととなった。

前半戦終了時点の順位は18位が鹿児島(勝点16)、19位が栃木(勝点14)、20位が群馬(勝点9)となっている。いち早く動いた徳島は、勝点22の15位で降格圏から脱出している。水戸は勝点18の17位だ。

J2は7月13日の24節から、およそ3週間のインターバルが空く。このタイミングをチーム建て直しの時期ととらえ、監督交代へ踏み切るチームがさらに出てくるかもしれない。

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