【自動車の任意保険】今年初めて車を買ったのですが保険料が8万円もかかってビックリしました。年末調整で戻ってきたりしますか?

「保険料控除」に自動車保険料は含まれない

年末調整における「保険料控除」とは、社会保険料、生命保険料、地震保険料、小規模企業共済等掛金控除についての控除をいいます。自動車保険料は、年末調整において控除の対象とはなりません。当然、自動車保険料をいくら支払っても、年末調整で戻ってくることはありません。

年末調整は、給与や賞与から源泉徴収された所得税額の年間合計額と、年収から計算した所得税額(申告・納付税額)を一致させる精算の手続きです。会社員の場合、一般には、年末調整をすることで所得税の申告・納付が完了します。

所得税を計算する際は、各納税者の個人的事情を加味するため、「所得控除」が認められています。所得控除の対象になれば、各種所得の金額の合計額から各種所得控除の額の合計額を差し引くことができるため、結果として所得税の額が下がります。つまり、所得控除を上手に利用することが、節税につながるといえます。

所得控除を上手に利用すれば申告・納付税額を下げることができる

先述のとおり、年末調整は、給与や賞与から源泉徴収された所得税額の年間合計額と、年収から計算した申告・納付税額を一致させる精算の手続きです。源泉徴収された所得税額の年間合計額が、申告・納付税額よりも多ければ、その差額分が年末調整で戻ってきます。

また、所得控除を上手に利用すれば、申告・納付税額を下げることができるため、年末調整で戻ってくる金額も大きくなります。所得控除には、以下のようなものがあります(一部省略しています)。

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・社会保険料控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・小規模企業共済等掛金控除
・寄附金控除
・医療費控除
・配偶者控除
・配偶者特別控除
・扶養控除
・基礎控除
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特に、生命保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、寄附金控除などは「節税対策」として紹介されることが多い所得控除です。所得控除の対象となる支出がある場合は、年末調整の際に忘れずに申請しましょう。

ただし、所得控除のなかには、年末調整で申請できず、確定申告をしなければならないものもありますので、注意が必要です。

まとめ

自動車保険を掛け過ぎると、保険料は高くなります。また、自動車保険の保険料は、所得控除の対象ではないため、年末調整でお金が戻ってくることはありません。

「保険料」と名の付くもので所得控除の対象となるのは、社会保険料(厚生年金保険料、介護保険料、健康保険料など)、生命保険料(生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料など)、地震保険料だけです。

自動車保険料が所得控除の対象になると思い、保険を掛け過ぎているのであれば、その保険は見直したほうがよいかもしれません。

保険は、入るべきものとそうでないものがあります。保険を見直すのであれば、保険会社に相談するのもよいですが、FP(ファイナンシャル・プランナー)に相談してみるのもよいでしょう。

出典

国税庁 所得税のしくみ
国税庁 No.1100 所得控除のあらまし
国税庁 給与所得者(従業員)の方へ(令和5年分)
国税庁 No.1130 社会保険料控除
国税庁 No.1140 生命保険料控除
国税庁 No.1145 地震保険料控除

執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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