【観察眼】中国最大の人気スターとは、すなわち彼らだ

カンガルーがオーストラリア、雄鶏がフランスを代表する動物であるならば、中国を代表する国獣はパンダにほかならない。

カンガルーがオーストラリア、雄鶏がフランスを代表する動物であるならば、中国を代表する国獣はパンダにほかならない。無邪気でかわいらしいパンダは中国の国際的なイメージと密接に関連している。例えば中国で開催された2度の五輪大会では、2008年北京五輪でも2022年北京冬季五輪でも、期せずしてパンダがマスコットとして選ばれた。こうした事情を知る外国人は多いかもしれないが、中国は世界で唯一の野生のジャイアントパンダが生息する国であり、中国の人々がどれほどパンダを愛し、パンダがもたらしてくれる喜びをどれほど享受しているのか、海外の人はそのことを知るすべもない。中国最大の人気スターと言えば、ジャイアントパンダにほかならない。

ジャイアントパンダに関する報道では最近になり、次のようなことがあった。中国で最大の検索エンジンである百度(バイドゥ)で、パンダの話題が「中国北部でセ氏42度以上の猛暑」「サッカー中国代表が幸運にもW杯アジア最終予選18カ国に進出」などのホットな話題を抑えて、アクセスランキングで1位に輝いたのだ。この記事の主役は、4月に韓国から帰国したばかりのジャイアントパンダのフーバオ(福宝)だった。フーバオは2カ月以上の隔離検疫と適応訓練を経て、12日に中国ジャイアントパンダ保護研究センターで一般公開された。韓国のエバーランドで生まれたフーバオは韓国の人々に愛され、飼育施設によって至れり尽くせりの世話を受けていた。そして、帰国してから順調に適応できるのか、今回の初の一般公開がどうなるかが注目を集めていた。中国内外のメディア20社以上が、12日の朝早くから保護研究センターに詰めかけた。小さなドアが開くとフーバオはゆっくりと外に出て、運動場に置かれた食べ物を的確に見つけて、すぐさま「美食」を悠然と楽しんだ。フーバオの一般公開は中国最大のメディアである中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ/CMG)によって生中継されただけでなく、ポータルサイトやソーシャルメディアを通しても人気を集めた。中国のSNSである、微博(ウェイボー)での当日の閲覧数は5000万を突破した。ネットユーザーからは「ハハハハ。パパに似ておっとりしている」「好きにしてね。私たちは自分の家にいるのだから」といったコメントが寄せられた。いずれもフーバオを深く愛し、(フーバオの存在を)誇りに思う気持ちに満ちた投稿だった。

ジャイアントパンダが好きな中国人は、その愛らしい外見だけでなく、特に気に入ったパンダについては、スター扱いで語ることが好きだ。北京動物園のパンダの大スターであるモンラン(萌蘭)は、「西直門三太子」の愛称で呼ばれている。「西直門」は北京動物園の所在地で、「三太子」とは「3番目の皇太子」という意味で、モンランが両親の第3子であることにちなむ。また母親のモンモン(萌萌)は、その美しい姿から北京動物園の「最優秀主演女優」と呼ばれている。モンランが動物園のフェンスによじ登ったことは「脱獄事件」、竹を食べていて爪を切ったことは「負傷事件」と呼ばれるなど、パンダについては一挙手一投足が注目され、人々は興味津々で見守っている。

人々がパンダからこれほどまで多くの楽しみを得ることができるのは、十分な数の個体数があり、飼育員が心を込めて世話をしているからだ。中国では近年、ジャイアントパンダ生息地の整備が強化され、個体群が大いに発展している。陝西省、甘粛省、四川省にまたがる野生ジャイアントパンダの保護区であるジャイアントパンダ国立公園の総面積は2万2000平方キロに及び、この公園をメインにした初期段階としての生息地保護システムが構築された。パンダの野生個体群数は中国全体で1900頭近くにまで増えた。同時に、パンダ基地や動物園で飼育されている個体群は、野生パンダの新たな導入などをしない自立性を維持し、かつ、質の高い発展を続けている。昨年末時点における世界で飼育されているジャイアントパンダの個体数は728頭だ。今後200年以内では遺伝的多様性の90%を維持でき、健康で活力があり持続可能な個体群となると評価されている。高水準の飼育と野生個体の積極的な保護があることで、人々はジャイアントパンダがもたらす楽しみを享受し続けることができる。

最近では、もう一頭のパンダのスターが注目された。7歳の誕生日を祝ったばかりのシャンシャン(香香)だ。東京の上野動物園で生まれて四川省雅安市の碧峰峡にある中国ジャイアントパンダ保護研究センターに移ったシャンシャンは、誕生日パーティーでニンジンとタケノコの切り身の「串焼き」という特別プレゼントをもらった。ガラス窓の前に詰めかけた観衆は、シャンシャンの無邪気で愛くるしい姿を楽しんだ。誕生日会は東京でも行われた。上野動物園の冨田恭正副園長は、中国に帰国したシャンシャンが新たな環境に適応し、すくすく成長していることに、ひとしおの喜びと安堵を感じた。

シャンシャン、フーバオ、モンランなど、中国人になじみ深いパンダは、人々に限りない喜びをもたらしている。その背後には、無数の飼育員、研究者、保護地スタッフがいる。シャンシャン、フーバオ、モンランに続くパンダの大人気スターが、ますます多く登場することを期待する。(提供/CRI)

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