「最後の国鉄型特急」381系やくも「ラストラン」42年の歴史に幕 沿線やホームで別れ惜しむ

山陰と岡山を結ぶJRの特急やくもの旧型車両381系が、定期運行を終える「ラストラン」の一日を迎え、鉄道沿線や到着駅は鉄道ファンでにぎわいました。

午前9時20分過ぎ、下りやくも1号が米子駅に到着。「緑やくも」の愛称で親しまれた車両を多くの鉄道ファンなどが迎えました。改札口では、満席だった車両から降り立った乗客に、ラストラン記念のやくもグッズが手渡されました。

乗客:
ラストランなので、記念に最後に乗っておこうと思いました。

「最後の国鉄型特急」として知られる381系電車。山陰に登場したのは、1982年です。伯備線全線と山陰線の伯耆大山ー知井宮間が電化されたのに伴い導入されました。

島根県・恒松知事(当時):
山陰線、島根県内の全線が電化される1つのステップに過ぎない。これから西に伸びて県内の交通はもちろん、山陽とも交流が深まる。これは私は大切なことだと思う。

運行初日の乗客:
喜んでいる、早くいかれるから。車内もなかなか良かった。

381系は、日本で初めて「自然振り子方式」を採用。カーブで車体を傾け、速度を落とさず通過できます。カーブが連続する中国山地の難所を高速で駆け抜け、岡山ー出雲市間の所要時間を20分短縮し、スピードアップも実現しました。
その後1994年には、紫色の「スーパーやくも」が登場。さらに2007年には、座席の間隔を広げるなど、快適性を大きく向上させた「ゆったりやくも」がデビュー。リニューアルを繰り返しながら、42年間にわたって山陰と山陽を結ぶ看板列車として活躍してきました。

中でも鉄道ファンから熱い視線を浴びてきたのが「国鉄色やくも」の車両。14日午後、米子駅に到着した下りやくも9号の「国鉄色やくも」にも大勢の人がカメラやスマホを向け、最後の姿を記念に納めていました。この米子駅のほか、出雲市駅でも記念イベントが行われました。
また、この日運行された下りの381系は全便で乗車率100%だったということです。

JR西日本山陰営業部・足立智さん:
(381系は)色々な方に利用頂いて、たくさんの方に愛された列車だった事を改めて感じました。

なお、夕方4時半ごろ米子着の予定だった下りやくも15号の「ゆったりやくも」は、鳥取と岡山の県境付近であった落石の影響で大幅な遅れが出るアクシデントに見舞われました。
381系電車は15日の朝、岡山を出発する下りやくも1号を最後に、全ての定期運行を終え長年の現役生活に終止符を打ちます。

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