中体連の「全中」縮小に波紋 2030年国スポ控える島根県では選手育成への影響懸念「代替大会を…」

中学生の全国大会、「全中」の規模について、日本中学校体育連盟が3年後から、水泳を始め9つの競技の開催の取りやめを決めたことを受け、山陰の競技関係者からも困惑の声が挙がっています。

松江市内のスイミングスクールで懸命に泳ぐ子どもたち。いま、戸惑いながら練習に励んでいます。

小学6年生・杉浦有さん:
結構悲しい、大会が減るのは悲しい。あって欲しいけど、なくなったとしても別の大会を作って欲しい。

全国中学校体育大会、「全中」。陸上やバスケットボール、サッカーなど20競技で開かれている中学生の全国大会です。しかし日本中学校体育連盟は、少子化や教員の負担軽減などへの対応が必要だとして、3年後の2027年度以降の大会の規模を縮小すると発表しました。
水泳をはじめ体操や相撲など、部活動の設置率が20%未満となっている9つの競技の開催を取りやめるとしています。「全中」出場の経験がある中学生も特別な大会であると話します。

2023年の全中に出場した中学生3年生・杉浦亘さん:
中学生の大会、部活の目標のようなものなので、全国の速い人は練習の時にどのような練習をしているのか考えたりして、頑張ることができる。

指導者も困惑しています。

島根スイミングスクール松江・角俊介コーチ:
インターハイも高校生になるとあると思うが、その前哨戦の立ち位置にもなる試合だと思うので、全中がなくなってインターハイへのモチベーションにうまく繋げていけるかという懸念はある。

さらに島根県ならではの懸念もあるといいます。

島根県水泳連盟・細貝輝之専務理事:
島根県にとってみれば、2030年に国スポを招致している今現在、選手育成を一生懸命やっているとこだが、ターゲットになってる年齢の選手が、ちょうど中心になるその年代なんですね。モチベーションが落ちないかというのが、すごく心配になってる。

2030年に国民スポーツ大会の開催が予定される島根県。この大会で主力選手となる高校生は、現在の小学校中学年から高学年で、ちょうど全中から水泳がなくなる世代です。県水連も国スポに向け選手育成を進める中、水を差す事態にならないか危惧しています。
日本水泳連盟は「継続を前提として、様々な開催方法案について中体連に質問をしていた段階であり、今回の急な方針発表のタイミングには唐突感を持ちながら諸対応をしている」と声明を発表していて、県水連としても今後の動向を注視するとしています。

島根県水泳連盟・細貝輝之専務理事:
代替する大会を設けて欲しい。子どもたちの目標意識をもっていける代替大会の設置は必要なのでは。

文科省も中体連に対し、競技団体などと丁寧な議論を行うよう求めるなど、今後の対応が注目される「全中」の縮小問題。選手たちのモチベーション低下に繋がらないような対策が求められています。

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