パリ五輪出場決定の一方で、カナダ戦・石川真佑の”途中交代”にファンは賛否両論。データ重視の監督采配に「ここ一番に弱いのは気がかり」の声も【ネーションズリーグ】

若手エースの”途中交代”が物議を醸している。

6月13日、女子バレーボールの「ネーションズリーグ(VNL)」予選ラウンド第3週・福岡大会が行なわれ、世界ランク6位の日本は同10位のカナダにフルセットの接戦の末、2-3(25-23、25-22、20-25、21-25、14-16)で痛恨の敗北。2セット先取から、まさかの3連続でセットを落とす大逆転負けを喫した。

日本は勝てば五輪切符を自力で決める一戦だっただけに、失意の敗戦で出場権獲得はお預けとなった。しかし翌日、事態は思わぬ急展開を迎えた。

日本バレーボール協会(JVA)は女子日本代表のパリ五輪出場が決定したと電撃発表した。同協会の公式サイトによると、「国際バレーボール連盟(FIVB)およびバレーボールワールド(VW)が昨日(13日)のVNL全試合が終了した時点でFIVB世界ランキングのポイントに関する計算を行なった結果、日本は予選ラウンドの残り2試合(15日・セルビア戦、16日・アメリカ戦)の結果に関わらず、世界ランキングによりパリオリンピック出場権を獲得することが判り、JVAに通知された」との朗報を掲載した。

日本はカナダに敗れ、世界ランクがひとつ下がり7位に転落。中国が世界ランク6位に浮上し、アジア最上位から陥落していた。しかし、同ランクでパリ切符を争うライバルのオランダ(同9位)、カナダ(同10位)に抜かれる可能性がなくなり、出場決定国とアジア最上位、アフリカ枠を除く上位3カ国に入ることが確定したため、6大会連続のオリンピック出場が事実上決まった。
紆余曲折を経て、なんとか五輪切符獲得のミッションをクリアした日本女子。だが一方で、勝利寸前で落とした13日カナダ戦の采配がクローズアップされている。

この試合、主将の古賀紗理那との二枚看板として日本の攻撃陣を牽引する石川真佑が試合途中で、早々とベンチに下がった。初戦の韓国戦ではチーム最多の16得点を挙げた24歳のアウトサイドヒッターは第1、2セットはスタートからコートに入っていたが、高さのある相手のブロックに苦戦。スパイクがうまく決まらず、精彩を欠くプレーが続き、第2セット途中21-19となったところで交代した。

以降はタイムアウト中なども石川はウォーミングアップをして待機しながら、チームメイトに声援を送るなど鼓舞したが、結局勝負の第5セットも出番はなし。この日は9得点にとどまり、敗北の瞬間をベンチで過ごした。 試合後、眞鍋政義監督は石川の交代理由について「見ての通り、スパイク決定率、効果率…。数字が1番悪かったから代えました」と鋭く指摘。試合中のデータを列挙しながら、パフォーマンスの低下を理由に挙げた。

また、「1、2セットは我々の思っているバレーボールができたが、特に3セット目以降から、ずっと守っていた」と振り返り、「特に3番(キアラ・バンライク=27得点)、9番(アレクサ・グレイ=30得点)の選手が素晴らしくて、我々日本のブロックではなかなか止めきれなかった」と話し、相手のダブルエースに計57得点を献上してしまったことに頭を抱えた。
SNS上では、一夜明けても指揮官の采配について様々な反応が寄せられている。

「一旦、変えたのは分かるけど、途中で戻してみても良かったのでは?」
「攻守の要になる石川選手が抜けたことで、余計に古賀選手のマークがきつくなった気がするけど」
「数字でバッサリ決断するのはいいけど、ここ一番の勝負どころに弱いチームになっているのは気がかり」
「アタック読まれてたね。セッターが良いトスを上げられるように、サーブカットも頑張って欲しいところ」
「タイムアウトの時に具体的な指示あったっけ?」
「取れる勝ち試合を取りこぼしたようにしか思えない試合だった」

石川は試合後、「相手も勝ちにくる姿勢が見られましたし、最後競った場面で勝ち切れなかった。個人としても途中で交代して、ミスも少しあった」と反省を口にし、「もう一回気持ちを切り替えて、スタートからいいパフォーマンスができるように準備したい」と、15日のセルビア戦へ視線を向けている。

構成●THE DIGEST編集部

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