登山初心者も山に「沼らせる」極楽ルートと下山後のお楽しみ!【双葉社登山部 山行レポート】

奥多摩で手軽に縦走ルートを楽しめる高水三山の岩茸石山山頂にて(撮影:双葉社登山部)

グループでの登山、しかもどれくらい山に登っているか、習熟度の違うメンバーを擁した山行の場合、ルート選びには悩むもの。歩行時間やアプローチの簡便さ、ルート自体の難易度など、リーダーが個々の実力を見極めながら選ぶ必要がある。今回は、山に慣れていない初心者も含めて満足できる奥多摩地域、高水三山をレポートする。

本サイト「BRAVO MOUNTAIN」を運営する出版社、双葉社に登山部が発足した。高水三山(たかみずさんざん)への山行を2月から計画していたが、部長の右手首骨折、雨天順延などが重なり、ようやく第1回目の活動を、5月25日の土曜日に実施することができた。奇しくもこの日は会社の創立記念日でもあり、活動開始日としては最高の日取りとなった。

今回のメンバーは8名。上は役員から、下は入社3年目まで、年齢も経験もバラバラだが、これが会社登山部の面白みでもある。ちなみに、もう1名、新入社員が参加予定だったが、前日金曜日が新入社員の職場研修最終日にあたり、打ち上げで飲みすぎたため不参加となった。ドタキャンも全然OKのゆるい登山部である。

今回の参加メンバーは下記の通り。

【名前】azu ※最高顧問 【お仕事】総務局
【登山歴】8年
【ひとこと】そろそろ慣れてきて油断する頃なので、とにかく安全登山、無事下山!

【名前】お祝 【お仕事】電子書籍制作・営業
【登山歴】3か月。山登り3回目。
【ひとこと】山登りやキャンプの機能的なギアを買うのが楽しくなってきた

【名前】O崎 【お仕事】WEBサイト制作
【山行歴】低山ハイキングをゆるく10年
【ひとこと】無理せず休みながらのんびりゆっくり

【名前】山三郎 ※本レポート執筆者 【お仕事】漫画&グラビア編集
【登山歴】25年。大学ワンゲル部出身
【ひとこと】三浦雄一郎に影響されて脚に3kgずつ、ザックに12kg入れて生活している

【名前】りーもー ※部長 【お仕事】エンタメ小説の編集
【登山歴】8年
【ひとこと】好きなのは「下山後即ビール」。ほどほどに頑張る40代のゆる登山でやっています

【名前】だいとう 【お仕事】漫画の編集
【登山歴】コロナきっかけに低山ハイキングを3年ほど
【ひとこと】スポーツはやらない文化系ですが、山も海も好きなアラフォーです! 当面の目標は山小屋泊ありの登山

【名前】ニーハオ宮田 【お仕事】海外営業/商品化
【登山歴】とうしろう
【ひとこと】登る山がなければ、人生はただの谷間である

【名前】まきお 【お仕事】書店営業
【登山歴】5年。長く住んでいた九州の山を中心に。
【ひとこと】カップラーメンはシーフード派。更なる高みを目指してがんばります!

■最高のコンディションを求めた結果、最高の登山日和に

午前9時14分、JR青梅線 軍畑(いくさばた)駅着。何度も天候を理由に順延してきた甲斐あって、快晴。絶好の登山日和。僕は雨でも別にいいんじゃねえ、と思ってしまうが、山にいいイメージを持って帰ってもらいたいという、りーもー部長の英断である。

駅から即アプローチだが、さすがに即山道ではなくアスファルトの道を行く。高源寺から本格的な登山道に入り、登っていく。

高源寺脇から登山道へ。気をつけていきましょう

トップはまきお、最後尾にazuがつき、唯一の女性であるO崎をサポートしながら歩く。さすがジェントルマンである。ここから高水山(たかみずさん)まで一気に高度を上げれば、そこからあとはほぼ縦走、快適に歩ける。高水山の山頂手前、常福院に近づくと、ほら貝の音が聞こえてきた。翌日にトレイルランニングの大会が開かれるので、その無事を祈っているのだろうか。普通の服の一団と、山伏姿の男性がいた。

常福院にいたる階段。金属板の日の丸が掲げられていた
常福院を撮影するだいとうと、右奥におそらくトレランの無事を祈る人たち

そこを越えると高水山の山頂。11時17分着。出発からおよそ2時間でひとつめのピークをとる。

高水山山頂。こちらは眺望ナシ

山頂で小休止のち、岩茸石山(いわたけいしやま)へ。12時前の昼食にちょうどよい時間に到着。高水三山の中でのピークではここだけ眺望があるので、みなこちらで昼飯を食べる。時間も時間なので、なかなかの混みようだが、場所を見つけて我々も食事タイム。

岩茸石山山頂。事件は山頂で起きる

ここで、カップヌードルシーフード派のまきおが箸を忘れるトラブル発生。しかし、O崎が予備箸を持っていて、事なきを得る。また、ニーハオ宮田のポカリが切れ、水分が足りない事態に。部長のりーもーが多めに持ってきた水を分けてあげる。山には当然ながら、自販機はない。自らが必要な水分量を把握しておくことは大事である。重くなっても、2リットルくらいは個々人が持っておきたい。

ここから馬仏山(まぼとけやま)を経て、本日最後のピークである惣岳山(そうがくさん)へ。東側の景観がよく、気持ちのいい登山道。自分たちが登ってきた岩茸石山までの尾根を見ながらぐんぐん進んでいく。

縦走気分を存分に味わえるポイント。天気も良く山気分が盛り上がる
惣岳山(そうがくさん)のピーク手前に、やや岩っぽい箇所があり、注意が必要

山頂は眺望がないが、青渭神社(あおいじんじゃ)奥之院がある。金網で囲まれていてよく見えないのだが、社殿の彫刻が何かのストーリーを表しているようで、興味深い。

金網越しの彫刻。神社の四方にあるので、回り込んで見てみよう

■ビールを求めてはやる気持ちを抑えて下山

13時過ぎに山頂を出発。あとは下るのみ。山行時間も4時間を超えて、膝に来ているメンバーも。下山のほうが事故は起きやすく、慎重に歩いていきたい。30分も歩くと下界の音が聞こえてくる。もうすぐビールである。今回は風呂はナシだが、部長から即ビールがあると聞いているので、期待が高まる。惣岳山の山頂から1時間ほどで、慈恩寺の裏手に出て、下山。横断歩道を渡ると、町中華があり、我々は吸い寄せられるように入店。下山後1分でビールが実現できる。

しかしみんな楽しそうだな。次は7月くらいに行くはず!

生ビール、サワー、そして澤乃井の日本酒と酒を変えつつツマミを食いつつ、気づけば3時間ほど飲んでいた。5時間の山行、そして3時間の飲み会である。登山は「下山後の風呂とビール」のためにあるとも言えるので、このルートは大正解。

■次も行きたい! と思わせる山行に

今回のメンバーには登山を始めて3か月ほどの入門者もおり、初回の活動としては5時間くらいの山行がちょうどよいだろう。僕も人を連れて山にいくことがあるが、どれくらいのルートが適正なのか分からず、8時間ほど歩かせてしまって疲弊させたことがあった。なかなか軽めのルートを見つけるのに苦労することもあるが、そんな時は高水三山一択である。なにより、下山後即ビールにありつけるのがよい。この満足を知ってしまった人は、きっと次の山も行きたくなるはず。

次はもう少し長めのルート、大菩薩峠に行こうなどと話して終了。店にはすぐ目の前の御嶽駅の時刻表が貼ってあるので、店を出てすぐに電車に乗れるのもよい。

山シーズン本格到来。今週末は、下山後即ビールをどうでしょう?

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