中国から海外に移住する人が急増中、華人華僑の現状とは―香港メディア

香港メディアの香港01は8日付で、中国から海外に移住する人が増えつつあるとして、その状況を紹介する記事を発表した。写真は米ニューヨーク市のチャイナタウンの一角。

香港メディアの香港01は8日付で、中国から海外に移住する人が増えつつあると紹介し、華僑や華人の出身地の状況や、現状を紹介する記事を発表した。以下は、同記事の主要部分に、日本人読者のために若干の情報を追加した文章だ。

法律上は扱いの異なる華人と華僑は計6000万人に

海外に移り住んだ中国系住民を指す言葉には、華僑や華人がある。「僑」とは「身を寄せる」などの意味がある。中国の法律や関連規則は「華僑」と「華人」の語を厳密に区別している。「華僑」とは外国に定住したり長期滞在権を取得した中国人で、海外に居住するが外国籍は取得しておらず、依然として中国国籍だ。

「華人」とは一般的には、外国籍を取得した元中国人と、外国籍を持つその子孫を指す。中国は二重国籍を認めておらず、外国籍を取得した中国人は中国籍を自動的に失う。だから華人は外国籍であり、中国人ではない。

中国国外に居住する華僑華人は、公式には現在約6000万人とされている。これは英国の人口にほぼ等しい人数だ。華僑華人の数が最も多い国はインドネシアで、次はタイとみられている。

40%超の「父祖の地」は広東

6000万人の華僑華人の「父祖の地」については、国務院僑務弁公室によると広東省が最も多くて約2500万余万人であり、全世界の華僑華人の43%弱を占めている。移り先で最も多いのは東南アジアで、次いで北米、欧州、豪州などの先進地域、さらに中南米やアフリカに渡った人もいる。

広東省は珠光デルタなどを中心とする広府、省東部の潮汕、さらに客家と呼ばれる人が多く住む内陸部に大別できる。それぞれの地域は文化などにも違いがある。海外の華僑華人のうち、潮汕にルーツを持つ人は1500万人を超えるとされる。最も多く住むのはタイで、次いでマレーシア、インドネシア、シンガポールなどが続く。欧米で暮らす人も多い。

福建系華人華僑は東南アジアに集中

福建省にルーツを持つ海外在住の華僑華人は、広東省に次ぐ約1600万人で、海外の華僑華人の26%を占める。居住地域は東南アジアに集中している。例えばインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポールに住む華僑華人は1200万人以上で、多くは福建省南部にルーツを持つ。

フィリピンの場合、100万人以上の華人の約9割が福建省南部にルーツを持つ。同国の第11代大統領を務めたコラソン・アキノ氏は福建人の末裔だ。彼女は在任中に、ルーツを求めて福建省に行ったことがある。

海南省系の華僑華人は約370万人で、圧倒的多数が東南アジアに住む、広西チワン族自治区系の約300万人は、主にベトナムとマレーシアにいる。雲南省系の約250万人は東南アジアに多く、特にミャンマーに集中している。

2000年以降に海外移住者が激増

浙江省系の海外在住華人華僑では約200万人で、居住地は欧州に集中している。台湾系は約190万人で、半数以上が米国にいる。また、山東省、新疆ウイグル自治区、江蘇省、上海市、四川省、湖北省系の海外在住の華人華僑はそれぞれ60万-100万人だ。

広東省、福建省、海南省などからの華人華僑の第1世代は1950年代以前、一部は清朝時期に海外に渡り「老移民」と呼ばれている。一方で、「新移民」とは、中華人民共和国の成立後、特に改革開放政策が始まってから出国した人を指す。浙江省から海外に渡った人の多くが、この「新移民」だ。

1980年代初期には約2200万人だった海外在住の華人華僑は、2008年には4500余万人にまで急増し、20年には6000万人に達した。多くは仕事のために海外に渡った「ビジネス移民」であり、同居するために海外に渡った家族もいる。(翻訳・編集/如月隼人)

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