児相保護の連れ子連れ去り 読売社員の男と妻に懲役2年求刑 神戸地裁

神戸地裁=神戸市中央区橘通2

 兵庫県内の児童相談所に一時保護されていた妻の連れ子を無理やり連れ去ったとして、未成年者略取や公務執行妨害などの罪に問われた読売新聞社員の男と妻に対する第2回公判が14日、神戸地裁(松田道別裁判官)であった。検察側は男に懲役2年、妻に懲役1年6月を求刑して結審した。判決は7月18日の予定。

 起訴状などによると、2人は共謀し3月16日午前、児相が一時保護していた長女が幼稚園の卒園式に参加する機会を狙ってタクシーに乗せ、児相職員の制止を振り切り連れ去ったとされる。

 児相は男による虐待を疑い、昨年12月に長女を一時保護。夫婦は児相に対し、卒園式当日は妻のみ参加するなどの意思を誓約書で示していた一方、弁護士とともに長女を連れ戻す計画を立てていたという。

 男は被告人質問で「弁護士から合法だと言われた。当時は非常識だと分からなかった」と述べ、「もっと周囲に相談するべきだった」などとした。妻は「娘といたいという自分の気持ちを優先してしまった」などと話した。

 検察側は論告で、「周到に準備され計画的で、一時保護制度の根幹を揺るがす極めて悪質な犯行」と指摘。弁護側は「弁護士からの誤った助言が大きな影響を与えた」などとして寛大な判決や執行猶予を求めた。

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