日本女子バレー、パリ五輪出場が決定してもなお“世界ランキング”が重要視されるのはなぜか。2連勝すれば5位抜けの大逆転シナリオも【ネーションズリーグ】

悲嘆に暮れたカナダ戦の逆転負けから一夜明け、日本バレーボール女子代表に朗報が届いた。前日までの結果を受けて、パリ五輪出場が確定したのだ。日本バレーボール協会は6月14日、国際バレーボール連盟とバレーボールワールドから出場条件を満たしたとの通知を受理。女子は6大会連続14回目となる。

眞鍋政義監督は「目標をクリアして安堵している」と正直な想いを明かしつつ、「次戦のセルビア戦に勝ち、東京オリンピックで金メダルのアメリカにも勝って、ファイナルラウンドやパリオリンピックに向かいたい」と意気込んだ。さらにキャプテンの古賀紗理那は「素直に嬉しい。残りの2試合の結果次第で世界ランキングが変わるので、気を引き締めて戦っていきたい」とコメントしている。ネーションズリーグ(VNL)1次ラウンドの残り2試合で、まだ達成可能なミッションがあるのだ。

パリ五輪本大会は、組み分け抽選のポット分けにおいて、今大会1次ラウンド終了後に確定する世界ランキングの順位が指標となる。五輪本大会の女子バレーボールには12か国が出場し、3組に分かれて総当たりの1次リーグを戦う。プールAに開催国フランス、Bに世界1番手(現時点で世界ランキング1位のトルコ)、Cに世界2番手(同ブラジル)が入ることが決まっている。その後は3~5番手が第2ポット、6~8番手が第3ポット、9~11番手が第4ポットと抽選で順々に振り分けられていくレギュレーションだ。抽選はVNL開催中のタイで、6月19日に実施される。

準々決勝には各組上位2チームと各組3位のうち成績上位2チームの計8チームが進出する。ハイレベルの1次リーグを勝ち抜くためには、少しでも世界ランキング上位の強豪国との同居は避けたいところだ。となると、現実的には世界ランキングで「5位以内」に食い込んでポット2に食い込めば、それなりに優位な立場となる。古賀が世界ランキングに言及したポイントもまさにそこにある。

男子代表のフィリップ・ブラン監督は今大会前、「6月26日に行なわれるパリ五輪の抽選に直結するのが世界ランキングだ。本大会でメダルを獲得するためには、まず準々決勝に進むことが必要で、有利な抽選結果を得るには、世界ランキングで上位5位以内を維持するのが重要になる」と目標を語り、日本男子は目下、4試合を残して世界ランキング3位につけている。

残り2試合の日本女子は現在、世界ランキング7位(322.94ポイント)だ。「5位以内」に到達するのは6位・中国(333.61ポイント)と5位・アメリカ(356.08ポイント)を追い抜かなければならない。過酷なハードルながら、不可能なシナリオではないだろう。

土曜日に日本はセルビア(同9位)と、アメリカはイタリア(同4位)と戦う。ここで日本が勝ってアメリカが敗れ、両国の差が現在の「33.14ポイント」から「20ポイント程度」にまで縮まれば、最終戦の直接対決で逆転することは可能だ。中国の残る2戦の相手はトルコ(同1位)、ポーランド(同3位)と厳しく、連敗してポイントをグッと下げてもおかしくない。結果的にどうなるにせよ、日本女子代表のモチベーションは高いままだろう。

もちろん、VNLのベスト8進出も懸かっている。こちらは1次ラウンドの上位7チームと開催国タイを合わせた8チームが該当。日本は現在7勝3敗(22ポイント)の5位で、セルビア戦に勝利すれば「7位以内」を確定できる。
日本時間6月14日終了時点の世界ランキング・トップ10は次の通り(★=パリ五輪出場決定国、カッコ内はVNL消化試合数)。

【女子バレーボール・世界ランキング】
1位:トルコ★ 392.17ポイント(10)
2位:ブラジル★ 389.93ポイント(11)
3位:ポーランド★ 372.13ポイント(10)
4位:イタリア★ 365.36ポイント(10)
5位:アメリカ★ 356.08ポイント(10)
6位:中国★ 333.61ポイント(10)
7位:日本★ 322.94ポイント(10)
8位:オランダ 302.87ポイント(11)
9位:セルビア★ 299.73ポイント(10)
10位:カナダ 280.40ポイント(11)

以下はVNL1次ラウンドの順位表だ(カッコ内は獲得ポイント/セット勝敗差)。

【女子バレーボール・VNL1次ラウンド順位表】
1位:ブラジル 11勝0敗(31ポイント/+24)
2位:ポーランド 9勝1敗(27ポイント/+23)
3位:イタリア 8勝2敗(25ポイント/+18)
4位:トルコ 8勝2敗(24ポイント/+15)
5位:日本 7勝3敗(22ポイント/+12)
6位:中国 7勝3敗(21ポイント/+11)
7位:アメリカ 6勝4敗(19ポイント/+9)
8位:オランダ 6勝5敗(18ポイント/+3)
9位:カナダ 6勝5敗(17ポイント/+2)
10位:セルビア 3勝7敗(9ポイント/-8)
11位:ドミニカ共和国 3勝8敗(9ポイント/-13)
12位:タイ 3勝7敗(7ポイント/-14)
13位:フランス 2勝9敗(8ポイント/-19)
14位:ドイツ 2勝9敗(6ポイント/-17)
15位:韓国 2勝9敗(6ポイント/-22)
16位:ブルガリア 1勝10敗(3ポイント/-24)

構成●THE DIGEST編集部

© 日本スポーツ企画出版社