怖くて使えない…!? 『ドラクエ』シリーズ伝説の呪文「パルプンテ」が生んだ緊張感

ファミコン『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』(編集部撮影)

『ドラゴンクエスト』シリーズを遊んだ人なら、ほとんどの人が知っているだろう呪文「パルプンテ」。唱える本人ですらどんな効果が出るのか分からない呪文で、一度は誰しもが使ってみたくなったはずだ。

ランダム性の効果なので、歓喜することもあれば、リセットしたくなることもあったもの。そんなドキドキしながら使った「パルプンテ」が、いったいどんなものだったのか振り返ってみよう。

■初登場は『ドラクエII』…誰も見たことがなくて存在すら怪しいという恐ろしい呪文

「パルプンテ」が初登場したのはファミコン版『ドラクエII』で、ムーンブルクの王女がレベル25で覚える。ただ、説明書には、“古文書にも記載されておらず、呪文が存在するのかも不明”とあり、よくそんな呪文を覚えられたものだと感嘆せざるをえない。やはり王女は天才肌の魔法使いといえる。

本作での「パルプンテ」は、唱えると「味方全員のHP全回復」「戦闘中蘇生+味方全員のHP全回復」「敵全体が即死」「敵全体が逃げる」「何も起こらない」「敵全体が混乱」「敵全体が睡眠」「敵全体の守備力が下がる」「味方全員の守備力が上がる」……といった効果が見られる。

筆者は当時小学生だったのでよく分からなかったが、味方側が不利になる効果がないのでありがたい呪文ともいえる。しかも、ハーゴンやシドーですら逃げてしまうのが面白い(シドーは再戦)。

本作では「ザオリク」も初登場となったのだが、ファミコン版の当時はまだ移動中のみしか使用できなかった。戦闘中に蘇生させる手段がないので、「パルプンテ」なら一発逆転が狙えた。

ただ、攻略サイトもない当時、本当にどんな効果があるのか不明だったので、万が一、味方にマイナスの効果があると思うとなかなか使えなかった。それだけに思い切って使おう……となったらドキドキしたものだった。

■きちんと使えるのは『ドラクエVII』まで…V以降は敵も使ってきて厄介

『ドラクエIII』になると効果も増えていき、「時間停止」「会心の一撃」といったメタル狩りに効力を発揮するものもあった。さらに味方にも災いが起こるようになり、「敵味方全員睡眠」「敵味方全員混乱」も出るようになった。

そして、『ドラクエIV』でも全体ダメージやマヌーサの効果などのほか、ミネアのタロットカードのように「経験値とゴールドが2倍」という嬉しい効果も増えていた。

続く『ドラクエV』『ドラクエVI』『ドラクエVII』では、敵モンスターも「パルプンテ」を使うようになり、もはや確実に存在している呪文となった。

使用者は限られているので、一度も見ずにクリアしてしまうことも珍しくない。この3作からは「敵味方全員蘇生」というありがたいようでそうでもない効果や、「流星で敵味方全員のHPが1」というサバイバル的な効果も見られた。

しかも、この流星効果は敵が使用することもあるので、非常に厄介といえる。素早さ……というよりもターンの順番が勝負を決めるといっていい。まったくもってヒヤヒヤものである。こんなの味方が使ったら、後で大ケンカに発展しそうだ。

『ドラクエVII』になると、使用するには「まじんブドゥ」の職業になる必要がある。モンスター職の上級にあたるので、「パルプンテ」を覚えずにゲームクリアしたプレイヤーも多かったはずだ。

■今後の「パルプンテ」の行方は……?

『ドラクエVIII』以降のナンバリングタイトルでは、味方が「パルプンテ」を使用できなくなった。『ドラクエX』では「遊び人」が使えるものの、呪文ではなく必殺技として扱われている。

一方、スピンオフ作品にはしばしば登場し、『ドラゴンクエストモンスターズ』シリーズや『トルネコの大冒険』シリーズ、『ドラゴンクエスト モンスターバトルロードII』、『ドラゴンクエストウォーク』などに登場していた。

リスクとメリットが同居しており、使うのに勇気が必要な「パルプンテ」。どんな結果が出るのか、コマンドを選んだあとの緊張感もまた魅力だった。いまでは過去のナンバリングタイトルも現行のゲームハードで遊べるので、久々に『ドラクエ』を楽しむプレイヤーの中には、「パルプンテ」を使ってみる人も多いだろう。これも中断セーブ機能が付き、やり直しが容易になったおかげといえる。

発売予定の最新作『ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎』や『HD-2D版 ドラゴンクエストIII』ではどうなるのか注目したいものだ。

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