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1975年に俳優デビューして以来、『暴れん坊将軍』の徳川吉宗役で時代劇俳優としての地位を揺るぎないものにした松平健さん。さらに、歌手としても2004年にリリースした『マツケンサンバII』が大ヒットし、令和の今でも世代を超えて愛される一曲となっている。そんな松平さんの「THE CHANGE」とは?【第4回/全4回】
デビューから50年、松平健さんは『暴れん坊将軍』や『マツケンサンバII』という代表作と出会う中で、ずっと変わらず、ひとつの思いを胸に仕事をしてきたという。
「俳優という仕事のやりがいは、やはり“お客様に喜んでもらえる”ということですね。俳優としていろいろな役をいただいて、さまざまな人物の人生を演じられるというのは、とても素敵で楽しいこと。そんな仕事はなかなかないと思いますし、そこでファンの人に喜んでもらいたいというのが一番の願いです」
その思いはテレビドラマや映画、舞台だけでは収まりきらず、現在はSNSでもファンを喜ばせている。
「コロナ禍で活動の幅が制限されてしまったとき、自宅にいるみなさんに喜んでほしいと、スタッフに『YouTubeをやりたい』と相談したんです。どんなことをやるかは、スタッフがアイデアを出してくれた中から、自分で選んでいます」
『マツケンTube』のコンセプトは「松平健がいろいろなことにチャレンジ」。料理をしたり、パズルに苦労したり、ブルブルマシンに乗って電話をかけたりと、意外な姿を見せている。
「最終的に観てくれた人が“面白かった”と言ってくれればいいんです(笑)。TikTokもはじめたんですが、加工したりして楽しんでますよ。ちょっと前に、ゆいちゃみさんとバラエティ番組のロケでご一緒したときには、『TikTok見てます』と言われました。
そうやって若い人に認知してもらえたり、自分の知らないところでどんどん広がっていったりするのは面白いですね。TikTokで若い人が『マツケンサンバ』を踊ってくれているのを見ると、私にとっては、すごいのひとことです」
若い頃、師匠の勝新太郎さんから言われた「さまざまなことに興味を持ちなさい」という言葉が、70歳を迎えてますます広がっている。
「今は現場のスタッフも、企画を出してくれる人も自分よりはるかに若いので、私では考えつかないような提案をしてくれる。これが面白いんですよ。今までやったことがないことには興味が沸くし、ぜひ挑戦してみたいと感じますね」
秋からは初の「NHK朝ドラ」出演
いただいた仕事はできるだけこなしたい――大物俳優ながら、そのフットワークは非常に軽い。10月からは橋本環奈さんがヒロインを務めるNHK連続テレビ小説『おにぎり』にも出演する。
「ヒロインのおじいちゃん役をやらせていただきます。芸歴50年で初めての朝ドラ出演です。年相応の役なので楽しみですね。抵抗ですか? 全然ないですよ。もうそんな年ですから(笑)」
松平さんは、この作品で、好きなことだけやって暮らしたい大ホラ吹きの祖父・永吉役を演じる。ここでも新たな一面を見ることができそうだ。
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「これからも新しいことをやってみたいという意欲はありますが、野望はもうありませんね(笑)。ただ、健康でこのまま、できるだけ長くこの仕事をやっていけたら、と思っています。ひとまず80歳くらいまではやりたいですね」
70を超えても、第一線で活躍し続ける松平さん。プロフェッショナルとして大事にしていることはなんだろうか。
「いただいた仕事をちゃんとこなすためには、健康な体が必要不可欠です。ですから、仕事に対応するための体を維持する努力はしています。そして、気持ちの面で大事なのは向上心ですね。現状に満足せず、日々取り組んでいます」
健康維持の秘訣は、毎朝のウォーキングだという。
「自宅を起点にいくつかお気に入りのコースがあるんです。地方に行ったときもホテルのまわりを歩いたりと、どこでもできるのがウォーキングのいいところですね。台詞や歌詞を覚えたりしながら、だいたい1時間くらい歩くのが日課です。あとは、60歳くらいからお酒の量を気にするようになりましたし、夜の9時以降はあまり食べないようにしています」
7月からは、これまでの集大成となる明治座『芸能生活50周年記念公演』に取り組む松平健さん。その瞳は力強く輝き、その先までしっかりと見つめている――。
松平健(まつだいら・けん)
1953年11月28日生まれ。1975年にテレビドラマ『座頭市物語』(フジテレビ系)でデビュー。1978年から『暴れん坊将軍』(テレビ朝日系)で、徳川吉宗役を演じ、時代劇俳優としての地位を確立。以降、多数の映画やドラマで活躍し、代表作にNHK大河ドラマ『草燃える』『義経』『鎌倉殿の13人』、『リーガルハイ』(フジテレビ系)、『PTAグランパ』(NHK BSプレミアム)、『下剋上球児』(TBS系)などがある。歌手としても2004年『マツケンサンバII』が大ヒット。現在も老若男女に愛される楽曲となっている。