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「楽天0-1広島」(14日、楽天モバイルパーク)
三走の広島・羽月隆太郎内野手(24)が本塁を踏むと、カープベンチはこの日一番の盛り上がりに包まれた。手に汗握る接戦で勝利を紡いだ若鯉たち。個々が持ち味を存分に発揮して、勝利の女神を振り向かせた。
延長十一回だ。まずは先頭の二俣が右前打。すかさず代走・羽月が送られ、犠打で二進して矢野雅哉内野手(25)が打席に立つ。すると宋家豪の2球目に三盗を試みて悠々セーフ。羽月は「(相手投手の)雰囲気と間合いが自分の中でバチっときたので『ここや』と思ってスタートを切った」。投球モーションを完全に盗んで三塁を陥れると、矢野は低め変化球を右犠飛にして待望の1点を奪った。
2戦連続で勝利打点を挙げた矢野は「何かことを起こしたら、羽月なら(本塁に)帰ってこられると思った」と打席での心構えを明かし、仲間の三盗に「あれで余裕ができた。気持ちが楽になった」と感謝した。
自慢の足で勝利を引き寄せた羽月は「誰にも負けないくらい準備してきた」と胸を張る。相手投手の映像を何度も見返し、打者による球種の傾向やカウントなども分析。「今年のチームは誰が見ても守り勝つ野球。自分が走塁の部分で引っ張っていけるように」と足のスペシャリストとしてのプライドをのぞかせた。
新井監督も「羽月の準備、勇気が素晴らしかった」と拍手を送り「若い選手が食らいついて、もぎ取った1点だった」と称賛を惜しまなかった。カープらしさが凝縮された1勝。見る者の胸を焦がす攻撃で、交流戦のラストスパートに入る。