FWの正しい打ち方をゴルフ博士が解説!実はハンドファーストが必要

ゴルフはスポーツのなかでも、とくに意図した動きができないといわれる。その原因が「細胞や脳に関係する」とわかり、自身も素早く100切りを達成した研究結果をレポート。斬新な視点と理論が、レベルアップを目指すゴルファーに新しい上達のヒントをもたらす!

フェアウェイウッドもダウンブローに打つ!?

今回は苦手な人も多いフェアウェイウッド(以下・FW)の話をしたいと思います。私もFWが苦手だったひとりで、そのころは払い打ちをしていましたが、長いシャフトに圧倒されて振り遅れてスライスしたり、ヘッドがブレてトップしたりダフったりで、まったく思ったように打てませんでした。FWは距離をかせぎたくて選択するクラブなので当然強打したいのですが、それゆえに失敗したときの落胆は余りあるもの。

プレッシャーから苦手意識が生まれ、練習もしなかったのでラウンドではまず使いませんでした。FWがストレスなく打てるようになっている今、なぜあそこまで打てなかったのか不思議ですが、根本の原因はボールのうしろから狙って打ちにいっていた「払い打ちが原因」と分析しています。

払い打ちというのは、ヘッドの高さは感覚まかせで、少しでも下がってしまえばダフってチョロ。下げたりなければトップしてチョロなど気が抜けないのです。FWの打ち方を調べると、この払い打ちのほかに「アイアンのようにダウンブローに打つ」というのもありましたが、ドライバーのようなあの形状を見てしまうとダウンブローに打つというのは当時の私には違和感がありました。ところが最近になって何の気なしに3、5Wを練習場にもっていってアイアン風に打ってみたのですが、1球目からクリーンヒット。バックスピンがかかっているのか、平たいヘッド形状からは想像できない打ち出し角で真っすぐ糸を引くようなボールがおもしろいように打てることに気がついてしまったのです。

調べてみるとFWは、重心深度が深いので表示ロフト以上にボールが上がりやすいということで、何となく知っていた重心深度の利点を改めて実感しました。こうしてFWを見直し、すっかりFWのファンになってしまったのですが、おそらくうまく打てたのは、アイアン式の打ち方がよかったのに加え、インパクトのフェース状態をゴールとするインバースキネマティクスと、左手で打点をコントロールするインナーカウンターによるスイングによって安定度が大きく向上していたからと考えられます。

FWをソールして、フェースをスクエアに構えてみてください。わずかながらプル角が設定されていてアイアン式に打てといっています。払い打ちで打つFWでハンドファーストは厳禁ともされるので、これは驚きなのですが、つまり形状的にはおそらくFWはハンドファーストが前提のクラブなのです。

プル角にしたがってスクエアに構えてみると、ボール位置はスタンスの中央付近にきて、これで本当にボールが上がるのかと不安になってしまうのですが、FWは前述したように重心深度が深いため問題がないのです。

インナーカウンターで横から正確に無理なく叩く

ボールの赤道より下1~1.5センチほどのところに、インナーカウンターの左手ブロックでヒンジを効かせてゆるやかなダウンブローでコンパクトに打ち込む。これには感覚に頼った不確定要素はないため、きっちり決まるはずだ。インバースキネマティクスでフィニッシュのフェースの方向をつねに意識し、インナーカウンターで真横からボールを打ち抜けば、スライスすることはまずない

FWを何も説明されることなく渡されて、その場で打つことを考えると、おそらく本能的に野球のバッティングのように左肩の前(もしくは左足の前)で、ボールのうしろ側から打ちたくなります。シャフトの長いFWでは振り遅れやすく、体の中央だとボールが上がらないというイメージも加わって、打点を少しでも左側に移したくなるのです。しかし、打点を左にもっていくとあおって打つような形になり、地面に置かれたボールをうまくヒットするのが難しくなる。そこで無理して中央で打てるように慣れるのではなく、難しく感じることのないシステムを導入することが重要。

ここではインナーカウンターを利用します。インナーカウンターでは、左手のブロックによって手首を起点とする二重振り子運動が生じ加速しますが、スタンス中央でブロックすることで体の正面で無理なく最大加速度を得ることができます。さらに、左手の高さ制御によってヘッドの地面高も正確に制御できます。

今回はイラストのように、リーディングエッジがボールの赤道の下1から1.5センチのあたりで拾うように意識して、宙に浮いていると想定したボールを打ちにいきます。ダウンブローに打つので地面にソールが当たるかも知れませんが、それは当たったとしても打ち出し後なので恐れる必要はありません。このようにフェースにフォーカスすることでウッド形状のFWも、さらには厚みのあるUTも、うしろへの張り出しなど見えなくなり、ダウンブローで普通に打てるようになると思います。

なお、バックスイングはこれまで同様、上半身リードで行ないます。じつは、これは自然に行なわれていることなのですが、腕+クラブと頸椎を対称点として引っ張り合わせるカウンターウエイトを意識することで、頭と腕+クラブがカウンターバランスとなり、振り上げる際の慣性モーメントを小さくすることができるため始動がスムーズになります。頭を動かすのには抵抗があるかも知れませんが、頸椎(軸)を動かさなければ問題はありません。

トップからの切り返しでは逆に、頭を頸椎の右に移してフォワードスイングを誘導します。やってみると小気味いいツイスト感を感じ、スイングのリズムが感じられるはず。このように始動、加速した上半身を一気に左手でブロックすることで、正確性と強度を兼ね備えたショットが体の正面で実現するのです。

いかがでしたか? 苦手な人も多いフェアウェイウッドはインナーカウンターを利用しましょう!

イラスト・文=サンドラー博士
●ゴルフ好きの研究者。ゴルフの専門家ではないが、ゴルフ理論は「教える側」という「外側からの視点で組み立てられているから難しい」ということに気づいてからは、「それをどう解決するか」の研究に没頭。出た答えを多くのアマチュアに伝えたく、毎月レポートする。

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