給食費を無償化すれば「給食への感謝が薄れる」 那覇市がデメリットを説明 専門家「ショッキングな内容。食べ物への感謝は有償・無償にかかわらず湧き上がる」

 学校給食費の無償化を巡り、那覇市は開会中の市議会6月定例会で、無償化のデメリットとして「給食に対して感謝が薄れる可能性がある」と説明した。

 12日に前田千尋議員が無償化のメリット、デメリットについて質問。市教育委員会学校教育部の比嘉真一郎部長が、デメリットの一つとして述べた。

 14日は普久原朝日議員が真意を追及。比嘉部長は「全国PTA連絡協議会で無償化の懸念事項として挙げられたものを参考に可能性を述べた」とした。

 同協議会はホームページで「一部の人々は、無償で提供される給食に対して十分な感謝や責任感を持てなくなる可能性があり、給食を無価値なものと見なし、食べ残しや無駄な行動が増えるなども危惧されている」と記載している。

 沖縄大学管理栄養学科の喜屋武ゆりか准教授は「『一部の人』がどのぐらいいるのか、また『感謝や責任感を持てなくなる』ことの根拠が示されておらず、ショッキングな内容。食べ物や生産者、調理者への感謝は有償や無償にかかわらず湧き上がるものだ」と指摘した。

 那覇市は本紙の取材に、メリット、デメリットの一例として同協議会の考えを引用したと説明。「市の意見ではない。市としては子どもたちにデメリットはないと考えている」と釈明した。(社会部・玉城日向子)

(資料写真)那覇市役所

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