ドリフト騒音で「眠れない」 110番絶えず 神戸、夜の人工島 危険運転横行、異例の逮捕者も

道交法違反容疑で逮捕された男らの車。ドリフト走行を念頭に改造している=神戸水上署

 車を滑らせながら走る「ドリフト走行」や改造したバイクによる騒音。こうした迷惑行為が神戸・ポートアイランド(神戸市中央区)の工場地帯で横行しているという。近くにはマンションも多く、騒音問題や危険な運転を訴える110番も後を絶たない。県警は5月、集団でドリフト走行をしたとして20代の男3人を逮捕した。近隣住民を悩ます現場は、その後はどうなったのか。夜の人工島を訪ねた。(森下陽介)

 5月下旬深夜、ポートアイランド。日中は大型トラックが行き交う埋め立て地も、この時間は静まりかえっている。突然、遠くからエンジンのごう音が聞こえてきた。数台のバイクが神戸大橋を渡り、走り去っていった。島内のコンビニでは車の愛好家も集まっており、近くの道路でドリフト走行を行う人もいるようだ。 ### ■万博影響、県外から遠征組も

 神戸水上署によると、ポートアイランドでは毎週末、1日10~20件の通報が入る。「車が走り回っている」「うるさくて眠れない」。新型コロナウイルス禍で一時、そうした通報もなくなっていたが、最近は元の状態に戻りつつある。

 「県外から『ドリフト族』が遠征してくることもある」と同署の繁中厚男交通課長。「大阪・関西万博の準備が進む大阪市の沿岸部では、ドリフト族らが車を走らせにくくなっているという話もあり、ロケーションもいいポーアイにまで車を走らせて来ているようだ」と話す。 ### ■「逃げ得は許さない」 

 5月21日には県警交通捜査課や神戸水上署が、道交法違反(共同危険行為)の疑いで、神戸市や芦屋市に住むいずれも会社員の20代の男3人を逮捕した。ドリフト走行の練習のため、ポートアイランドを訪れたという。

 同署によると、危険行為があったのは昨年7月7日の深夜。改造した日産シルビアに乗った3人は、島内東側の道路でドリフト走行をしていた。現場には複数の見物人もいたという。同署などは毎週末、捜査員を動員しながら暴走行為を確認。防犯カメラなどのリレー捜査で男らを特定し、約10カ月かけて逮捕にこぎ着けた。

 「四輪車の共同危険行為容疑での逮捕は珍しいが、逃げ得は許さない」と繁中交通課長。「今回の件はあくまでも氷山の一角で、暴走行為や騒音問題がすぐになくなるとは思えない。引き続き警戒して、静かに安心して暮らせる地域にする」としている。

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 この記事は神戸新聞の双方向型報道「スクープラボ」に寄せられた情報を基に取材しました。

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