「国内不動産はやめとけ」…投資初心者が手を出しがちな日本不動産、今は“リスクたっぷり”だと言える5つの理由

不動産投資の初心者は、「日本の不動産だったら安定して利益を出せそう」と思うかも知れません。しかし実際は、今の国内不動産投資はリスクが非常に多いといいます。本記事では、町田健登氏の著書『フィリピン不動産投資術 ~月6万円から始められる年利8%のホテル投資のコツ~』(ビジネス教育出版社)より、国内不動産投資をするリスクについて解説します。

「国内不動産投資」が儲からない5つの理由

不動産投資という言葉を聞くと、どのようなイメージを持たれるでしょうか? 投資に興味があり、少しでも調べたことのある方なら、安定した家賃収入が得られるイメージかもしれません。物件を一度買ってしまえば、毎月の家賃が自動的に振り込まれる手堅い投資と考えている人も多いと思います。

ただ、私は日本国内の不動産物件に関しては、このかつての「不動産神話」が崩れていると感じています。ここでは、国内不動産投資のリスクが高まっている5つの理由を説明します。

理由1 転売時の売却益が狙えない

ほとんどの国内不動産は、転売時のキャピタルゲイン(売却益)が出ない物件です。なぜなら、日本国内の不動産は、基本的に新築が最も値段が高く、時間が経過するほど、価値は下がります。つまり、海外不動産では当たり前であるキャピタルゲインが得られません。

もちろん、インカムゲイン(家賃収入)だけでもメリットはあります。しかし、不動産購入の醍醐味はインカムゲインとキャピタルゲインの両方が狙えることです。国内不動産では、2大メリットの一つがないため、片手落ちだと言えるでしょう。

理由2 人口減少で空室リスクが高まっている

不動産投資では当たり前ですが、入居者が借りてくれなければ家賃収入はありません。ご存知のように、日本の人口はすでに減っており、今後も減少するのは明らかです。

将来的には、人口減少が進む地方であればあるほど、日本国内で入居者を集めるのが困難になり、空室リスクが高まるでしょう。

そのため、少し長い目で見ると計画していた家賃収入が入らずにローンが支払えなくなる大家さんが増えると危惧しています。

理由3 競合が多く、いい物件が残っていない

2010年以降、将来への不安から会社員ながら不動産に投資、副収入を得るサラリーマン大家が増加し、高い利回りの出る投資用マンションやアパートへの争奪戦が激化していきました。

その一方で、スルガ銀行のかぼちゃの馬車事件の後、不動産購入時の銀行融資の審査が厳しくなりました。

その結果、ローンを引ける最大額等の制限が高まり、平均年収前後の会社員の方が、投資ができる物件の数がずいぶん制限されるようになりました。

結果、年収500万円前後の会社員の方ができるマンションは既に良質な物件がほとんどなく、業者に言われるまま不動産を買ったが最後、家賃収入で黒字どころか、修繕費やローンの返済等で毎月支払いが増えて赤字になっている会社員の方も多くいます。

競合相手が少なく、より多くの融資が引ける年収3,000万円以上の富裕層の方や戸建て再生投資ができるなど技術をお持ちの方であれば、良質な物件にも巡り合える可能性もありますが、

平均年収前後の会社員の方が何の知識もなしに、国内不動産を買うと資産どころか大きな負債になりかねない状況が深刻化しています。

理由4 金利上昇でローン返済ができなくなる可能性がある

2022年12月20日、驚くべき事件が発生しました。日銀の黒田総裁就任以降、日本は長期間低金利が続いてきましたが、その長期金利が0.25%→0.5%に上昇したのです。

その結果、不動産ローンの金利も上昇させた銀行もあり、月々の銀行返済金額が増加した大家さんも多くいます。

従来、異常なまでの低金利で銀行からお金を借りることができました。そのため、銀行ローンを使って不動産を購入しても、十分収益を出すことが可能でした。

しかし、今回の金利上昇により、毎月の銀行ローン返済額が増える可能性もあります。2023年黒田総裁に代わり、植田和男氏が日銀総裁に就任しました。

2023年5月時点では、黒田総裁の低金利政策継続の姿勢を示していますが、2年目以降徐々に金利を上げるという噂も流れています。

金利が上がると、毎月の家賃の手残りがゼロになったり、ひどい場合は毎月マイナスになるリスクが高まっています。国内の銀行からの融資で不動産を購入する場合、このようなリスクがあることを考慮すべきでしょう。

理由5 通貨としての円の価値が暴落している

2022年、ウクライナ戦争で世界各国は金利を上昇させましたが、日本は異次元緩和といわれる低金利を続けました。その反動で、2022年10月には1ドル=150円まで円の価値が一気に暴落しました。

不動産オーナーの視点で考えると、円の価値がいくら暴落しても、家賃収入の金額は変わりません。そのため、円の価値の暴落は自身には関係ないと思いがちです。

しかし、島国日本は食料品やエネルギー資源等の多くのものを輸入に頼っているため、円の価値が下がると物価が上がります。

実際、2022年はマクドナルドのハンバーガーが100円→150円、うまい棒が10円→12円等物価上昇が続きました。

すると、同じ家賃収入でも物価が上昇すれば、同じ金額(家賃)で買える商品が少なくなっているのです。同じ金額の家賃を受け取っていても、実際は収入が目減りしていることになります。これは、インフレに負けている状態と言えます。

国内不動産はリスクが多い

以上、国内不動産投資のリスクについてお伝えしました。

もはや国内不動産を買っておけば、あとは安泰という時代ではありません。厳しく精査をすれば、いい物件が見つけられる可能性もありますが、素人が見つけるのは至難の業です。

万が一、それでも国内不動産投資をされたい方は、これら5つのリスクを考慮した上で慎重に行って頂くことをお勧めします。

町田建登
ライフシフト合同会社 代表

※本記事は『フィリピン不動産投資術 ~月6万円から始められる年利8%のホテル投資のコツ~』(ビジネス教育出版社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

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