プーチン氏、戦争終結に向けた条件提示 ウクライナは拒否「完全な茶番」

ロシアのプーチン大統領が、ウクライナでの戦争の終結に向けた条件を提示した/Maxim Shemetov/Reuters

(CNN) ロシアのプーチン大統領は14日、ロシアがウクライナでの戦争を終結する唯一の条件として、ロシアが自国領と主張する4州からのウクライナ軍の撤退と北大西洋条約機構(NATO)加盟申請の即時取り下げを挙げた。

一方、ウクライナ政府はこの条件を即座に切り捨て、「完全な茶番」「良識への攻撃」だと反発した。

プーチン氏はこの日、スイスで開かれる平和サミットを前に演説し、戦争の「最終終結」に向けた条件を2年以上前のウクライナ全面侵攻以降で最も詳しく示した。プーチン氏は平和サミットに招かれていない。

プーチン氏は占領下にあるウクライナ東部および南部4州からの同国軍の撤退に加え、ウクライナの非武装化や、欧米諸国による対ロシア制裁の解除も要求した。

プーチン氏が以前に示唆した条件に比べ拡大主義的な色合いが強い内容だが、ロシアが当初の戦争目的を達成できなかったことも示している。ロシアは当初、開戦後数日で首都キーウ、数週間でウクライナ全土を奪取できると踏んでいた。しかし2年4カ月近くが過ぎた現在、ロシアの占領地は10年前に併合したクリミア半島を含め、ウクライナ領の約5分の1にとどまる。

プーチン氏は外務省に寄せたコメントで、和平交渉に向けたロシアの条件は「シンプル」だと説明。まず、ドネツク、ルハンスク、ヘルソン、ザポリージャ4州全土からのウクライナ軍の撤退を挙げた。ロシアはこれらの地域を部分的に支配しているに過ぎないが、4州全土をロシア領と主張している。

プーチン氏は「ウクライナの部隊や組織の安全な撤退を保証する」と約束し、ロシア政府はウクライナが世界の安定に果たす役割を認めていると説明。自身の挙げる戦争終結の条件を国際協定に明記することも求めた。

しかし、ウクライナのゼレンスキー大統領はプーチン氏の「最後通告」を「信用していない」と述べ、プーチン氏の以前の提案と大差ないとの認識を示した。

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