強制性交致傷罪に問われた被告に無罪判決 那覇地裁「同意があったと誤信した」

 沖縄県石垣市内の宿泊施設で2022年12月、知人に性的暴行を加え、けがをさせたとして、強制性交等致傷罪に問われた中城村の自営業の被告の男(56)の裁判員裁判で、那覇地裁(佐藤哲郎裁判長)は14日、無罪判決を言い渡した。性行為に被害者は同意していなかったが「(被告が)同意がないことを認識していたと認めるには合理的疑いが残る」と判断した。

 争点は(1)暴行・脅迫の上で同意なく性交したか(2)同意がないことを被告が認識していたか(3)被害者が傷害を負ったか-の3点。

 判決によると、被害者の証言は信用でき、性行為に同意はしていなかったと認める一方、被告が被害者に宿泊先でマッサージをされたことなどから「親しみの感情」を抱き、同意があったと誤信したと判断した。

 被害者は公判で「被告に両手を押さえ付けられ、『動くな』と言われた。動いたら暴力を振るわれると思った」などと訴えたが、判決は「脅迫的な意味合いで述べたとは断定し難い」とした。

 那覇地検は「主張が認められなかったのは遺憾。判決内容を十分に検討し適切に対応したい」とし、被告の弁護人は「公平公正な判断に感謝したい。被告人の名誉回復に努める」とコメントした。(社会部・城間陽介)

(資料写真)那覇地裁

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