若手役者の夢舞台 笑いと涙の大衆演劇 地元でひと花咲かせましょう!【新潟】

大衆演劇の若手役者・紅 由高の夢舞台!

笑いと涙の人情劇が魅力の大衆演劇の劇団に、三条市出身の若手役者がいます。ほぼ休みなく出演しながら腕を磨く日々。地元、新潟での公演に密着しました。

華麗な舞踊ショー。そして人情の大衆演劇。
新潟市中央区にある古町演芸場。月ごとに劇団が入れ替わり、ほぼ毎日、大衆演劇の公演が開かれています。6月は、関東を拠点に活動する〝一見(ひとみ)劇団〟です。

三条市出身の紅由高(くれない・ゆたか)さん22歳。
高校卒業後、大衆演劇の世界に飛び込み4年目。劇団の男性役者の中では最年少です。
■紅 由高さん
「やっとスタートラインという感じなので、日々努力して頑張らなければいけないなと思っています。」

大衆演劇は一年中 全国の劇場を飛び回る旅一座。10tトラック2台分の荷物を運びだします。中でも大量に運び込まれていた箱の中身は、すべてカツラ。
■紅 由高さん
「カツラと言っても、1つ2~30万くらいはする。おさがりのような形で譲ってもらったものが多い。」

役者たちは、劇場の楽屋などで1か月間、寝泊りします。ほとんどの場合、休みは2日ほどです。
■紅 由高さん
「最初はなれなかったんですけど、みんなかわいがってくれて今は慣れて。みんな家族みたいに接してくれてありがたい限りです。」

この日は通し稽古。由高さんが見ていたのは。
■紅 由高さん
「ちょっとセリフ見てました。少なくとも1カ月60本、でもそれ以上に演目はあります。」

大衆演劇は1日2公演。芝居は1時間ほどですが、毎日演目が違うため膨大な量のセリフを覚えなければなりません。
■一見好太郎座長
「教えてうまくなるとかではない。自分で努力して、強弱つけてを自分で身に着けていくしかない。満足はしてほしくない。」
■紅 由高さん
「地元ということで特別な思い。楽しみにしていて、ちょっとでもうまくなった自分を一人でも新潟のお客さんに見せられるように頑張りたい。」

公演当日。他の役者が寝ている時間にも稽古に励む由高さんの姿がありました。実は由高さんにとって古町演芸場は、特別な場所。高校生のとき、母親に連れられてこの場所で大衆演劇をみたことが役者を志すきっかけでした。
■紅 由高さん
「お芝居やいろいろな御着物でおどってらっしゃって、かっこいいなと思った。」

一見劇団は毎年、古町演芸場を訪れていて由高さんがこの舞台に立つのは3年目です。母親からは祝福のメッセージが届いていました。大衆演劇は役者や団員はほとんどが親戚同士。由高さんのように入団するケースは珍しいと言います。
■古都乃竜也座長
「なかなか劇団に門をたたいて入ってくる子はいないけど、4年すぎましたね。珍しい形ですけど、劇団に入ってよく頑張っていますね。」
■紅銀之嬢さん・美苑隆太さん
「まじめです。今まではいった子でこんなまじめな子がいなかったというくらいの真面目さ。」

公演1時間前。県内外から多くのファンが訪れていました。
■ファン歴20年の客
「きょうを含めて2回目でしょ、来週も再来週も来る。」
■東京都から
「明日も頑張ろうとなりますね キュンキュンしますから。」

本番が迫りメイク中。
■紅 由高さん
「何回かやっているお芝居なのですが緊張しますね。結構やばいです。」

この日の芝居は「二つの命」。
由高さん演じる「春太郎」は結婚するため、かたぎになることを兄の秋太郎と固く約束します。しかし親分に弱みを握られ、家族のためにふたたび刀を持つことに。最愛の妻も失い、春太郎も絶体絶命のピンチに。最後は兄が身代わりとなり、弟・春太郎を助ける切ない兄弟愛を描いた物語です。

由高さんは、一見総座長と共演し、一番セリフの多い役を務めあげました。華麗な舞踊も披露し、由高さんにおひねりを渡すファンもいました。

由高さんの芝居について先輩からこんな指摘が・・・
■紅ア太郎さん
「子供の抱き方がヘッドロックでしたね。ヘッドロックした落ち武者が・・・(別の人)落ち武者とか言わないの(ア太郎さん)新潟の星ですよ。」

約3時間、笑いあり涙ありのステージとなりました。
■観客
「すごいうまくなったね~、びっくりしちゃった。期待しています。」
「親心みたいにドキドキしていたけど、今日の長セリフの舞台をみて嬉しかったです。感動しました。」

座長からはアドバイスも。
■古都乃竜也座長
「恋愛をしてやっぱり人間は大きくなるので、失恋をしながらリアルな恋愛をしていきたいというのが正直なところです。」

由高さんが目指すのは一見総座長と、古都乃座長のような愛される役者です。
■紅 由高さん
「うちの座長が一番カッコいいなっていつも思います。かっこいい・きれいはもちろんだが、それ以前にお客さんに好かれる役者さんになりたいと思う。」

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