ATEEZ、最新アルバム首位獲得 “ゴールデンアワー”のテーマを通じて提示する新たな価値観

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参考:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2024-06-17/

6月17日付(6月11日発表)のオリコン週間アルバムランキングによると、ATEEZの『GOLDEN HOUR : Part.1』が売上枚数42,665枚で1位を記録。その後、VΔLZの『三華の樂』が27,994枚で2位、ゲーム『うたの☆プリンスさまっ♪』より寿嶺二(森久保祥太郎)の『Drown in』が19,390枚で3位と続いた。

今回取り上げたいのは、1位に輝いた『GOLDEN HOUR : Part.1』。本作は韓国の8人組グループ ATEEZの10枚目のミニアルバムである。ATEEZは、現在盛り上がりを見せるK-POPシーンの中でも、特にコンセプチュアルな作品を発表することで知られているグループで、この作品は今後続いていく「GOLDEN HOUR」シリーズの「Part.1」に位置づけられる。

サウンドプロデュースはEden-aryが一貫して務めており、音楽性にも統一感があるのが特徴だ。Eden-aryはシンガーソングライターのEDENを中心とするプロデュースチームで、楽曲はこのチームとATEEZメンバーたちとの音楽的交流によって制作された。また、メンバーも作詞に参加するなど、メンバーたちの趣向や意思が楽曲に強く反映されているのもATEEZの大きな特徴と言える。

今作のコンセプトを知る上でわかりやすいのが、ミニアルバムの発売に先立って公開されたプレビュー動画だ。SF的な世界観の中で、煌びやかでドリーミーな近未来都市のような映像が流れていく。そして最後に「Could these be the real Golden Hours of our lives?」(これが私たちの人生の本当のゴールデンアワーなのだろうか?)という問いを投げかけて映像が終わる。

ゴールデンアワーとは黄金の時間、転じて、人生における素晴らしい時間~価値のある瞬間を意味する言葉。つまり、本作は人生において大切なこととは何なのかという、ATEEZから新しい価値観が提示された作品だと言えるだろう。

本作アルバムはメンバーの語りによる「Golden Hour」から始まる。2曲目「Blind」は、民族音楽のようなトライバルなパーカッションの上で、どこか異国情緒を感じさせる情熱的かつ野性的なサウンドが印象的。叫び声なども登場するワイルドな表現や力強いユニゾンなど、ボーカルはパワフルでエネルギーに溢れている。

リードトラックの「WORK」は、リズム主体のヒップホップトラック。働こうという意味の〈Gotta WORK〉というフレーズが耳に残る。比較的メロディアスな「Empty Box」は、ギターの爪弾きの中で歌われる儚く切ない旋律が美しい。メンバー同士のハーモニーも心地よく、ATEEZの繊細さが味わえる。

レゲエ調のリズムから始まる「Shaboom」は、明るく自由なダンスナンバー。後半から強烈なEDMへと展開し、聴き手の身体を一気に揺らす。ラストの「Siren」はダークな電子音と緊張感のあるサウンドメイクが印象的。サイレンが鳴り響くという意味の〈Ringing Siren〉のフレーズが何度も繰り返される。

総じて、中毒性のあるリズムやサウンドの中で、メンバーたちのエネルギッシュなボーカルが脳裏に焼きつくこのミニアルバム。先月には『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出演するなど、日本でも現在人気急上昇中。その音楽性や発信するテーマに、ここ日本でもまだまだ支持が広がりそうだ。

(文=荻原梓)

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