「“良い経験”と言いたくなかった」河本力 初挑戦のメジャー予選落ち

河本力のメジャー初挑戦は無念の結果に(撮影/村上航)

◇メジャー第3戦◇全米オープン 2日目(14日)◇パインハーストリゾート&CC パインハースト No.2(ノースカロライナ州)◇7548ヤード(パー70)

ボランティアスタッフが持つスコアボードには、通算「19オーバー」を示すカードが用意されていなかったらしい。KAWAMOTOの欄にはそれぞれ単体の「1」と「9」の数字が組み合わせて掲示されていた。「この結果が全て。今のこのスコアが僕の実力と受け止めたい」。初挑戦のメジャーを終えて、河本力は真っすぐに言った。

初日に7オーバー132位と出遅れたまま、巻き返しの糸口をつかめなかった。2日目は出だし10番(パー5)をバーディで滑り出しながら、次の11番でバンカーセーブできずボギー。その後はダブルボギーを3つ記録するなど「82」の大たたきだった。

ネイティブエリアからのショットも強いられた(撮影/村上航)

第1ラウンドの途中、ブッシュからのショットで右手首を痛め、フェアウェイやラフからのショットに苦労した。「そういうのもすごく実力不足」と“敗因”にするつもりはない。「なんか言い訳をしているようで、すごく苦しい。まだまだだってことが、すごく理解できた」

世界レベルの選手たちと、グリーンを狙うショットの差を感じたという(撮影/村上航)

日本ツアーのドライビングディスタンス部門で昨季まで2年連続でトップ。今季も平均323.61ydと2位以下に12yd差をつけて1位を走る。ただ、飛ばすだけではダメとは分かっていた。「今の飛距離なら、もっともっとフェアウェイに打てないと、こっちで勝てる未来は見えない。フェアウェイから打ってもぜんぜんグリーンに乗せられなかったり、思ったところに飛ばせなかった」。精度を欠いたことが何よりも悔しい。

再び日本ツアーで腕を磨く(撮影/村上航)

「『良い経験でした』と言って帰るのがすごくイヤだった。すごく悔しいです」。日本地区の最終予選会を通過して立ったメジャーの舞台を“思い出”で終わらせるつもりはない。「モチベーションはすごく上がった」とまずは主戦場の国内ツアーでの戦いに目を向ける。

「調子が悪くても上位に入ってくるような、やっぱり松山(英樹)さんみたいなレベルの高いゴルファーにならないと絶対に通用しない。全部のレベルを上げ直して、考えて練習して行かないと」。身体に充満する無念さ。今いるどんな超一流選手にも、一歩目があった。(ノースカロライナ州パインハースト/桂川洋一)

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