福島県沖トラフグ「福とら」2023年販売額 単価上昇し、過去最高1億2878万円

 2023(令和5)年に福島県沖で捕れたトラフグを市場で販売した金額の合計は1億2878万円で、2022年の1億2445万円を上回り過去最高を更新した。14日に相馬市で開かれた「相馬市福とら活用推進協議会」の総会で県水産資源研究所が示した。

 漁獲量は29.8トンで2022年の36.1トンを下回ったが、単価が上昇しため販売額は伸びた。単価が高くなった理由として、同研究所は需要が高い時期に漁期をずらして出荷したほか、福島県沖のトラフグの認知が広まった影響が考えられるという。相馬双葉漁協は高単価のフグを提供するとともに資源を守る目的で、2023年10月から1隻当たりの水揚げ数を自主的に制限していた。

 相双地区を中心に、福島県沖では東日本大震災と東京電力福島第1原発事故が発生した2011(平成23)年より前から2トン程度のトラフグの水揚げがあった。漁獲量は2019年から増え、2020年に5トンを、2021年には25トンを超えた。同研究所は、資源自体の増加や、はえ縄漁業の実施により漁獲量が急増したと分析している。

 総会では、10月29日を「福とらの日」に制定する案を承認した。10月はフグのはえ縄漁の開始月で、29(ふく)とかける。福とらの日に合わせたPR法を今後模索していく。てっさ(刺し身)講習会の開催や取り扱い店舗の拡大などを盛り込んだ事業計画を決めた。

 市内では漁業者や観光・商業関係者、行政が一体となり天然トラフグをブランド「福とら」として売り込む取り組みを進めている。

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