ロボテス、事実上国有化 エフレイが所有 実証研究で活用 来年4月から 基本合意を締結

 福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)は来年4月から、福島ロボットテストフィールド(ロボテス、南相馬市・浪江町)を所有する。14日、ロボテスを有する福島県と統合の基本合意を締結した。エフレイは福島復興再生特別措置法に基づき国が設立した特殊法人であるため、ロボテスは事実上の国有化となる。現時点で研究施設を持たないエフレイは、ロボテスをロボットやドローンの実証研究拠点として活用し研究開発を加速させる。

 研究開発の柱の一つにロボット分野を掲げるエフレイは、災害対応や廃炉作業に向けた最新ロボットの機能の実証などでロボテスを活用する。現在、過酷環境でも稼働するロボット開発などの委託研究事業を進めている。災害現場を再現したロボテスで培われたノウハウを取り入れながら複数の事業の実証を重ねることで、より迅速に実用化に向けた作業が進むメリットがある。ロボテス側も施設の利活用件数のさらなる増加が期待できる。

 ロボテスの指定管理者の福島イノベーション・コースト構想推進機構は、ロボテスが県からエフレイに移管後も引き続き、運営を担う。

 エフレイは機構の研究者と、ロボテスを拠点にするベンチャー企業やイノベ機構と関わる多彩な地元企業との研究・開発での連携の強化も見込んでいる。移管後もエフレイと県が緊密な連携を図るために、来年4月に「県・F―REI調整会議」を設置する。エフレイや県、復興庁、経済産業省、イノベ機構などで構成。原則年2回開催し運営に関して協議し、県内のロボット・ドローン関連産業の発展につなげる。

 政府は4日に規制緩和を地域限定で先行実施する地域課題解決連携特区(連携絆特区)に福島・長崎両県を初めて指定。

 県は南相馬市のロボテス周辺でドローン配送の実証事業を来年度にも開始する。ロボテスの事実上の国有化と特区指定により、ロボット関連産業の集積が進むとみている。

 基本合意の締結式は14日、南相馬市のロボテスで行われ、県の内堀雅雄知事とエフレイの山崎光悦理事長が基本合意書に署名した。エフレイと県、イノベ機構の包括連携協定の締結式もあり、内堀知事、山崎理事長、イノベ機構の斎藤保理事長が署名した。来年4月までに統合に向けた準備を進める。

 式終了後の記者会見で内堀知事は「ロボテスに集う企業や研究機関がエフレイと結び付き相乗効果を生み出しながら、施設の成果が最大化され、イノベ構想のさらなる具現化を期待している」と語った。山崎理事長は「県、イノベ機構と連携し世界に誇る福島の創造的復興に寄与したい」と述べた。

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