「言葉よりも気持ちと行動が大事」GHCヘビー級王者・清宮海斗の防衛戦への思い

プロレスリング・ノアへ革命を起こすべく、5月7日に結成された新ユニット・ALL REBELLIONをけん引する現GHCヘビー級王者・清宮海斗が6月8日、神奈川・横浜市のBACON Books & cafeでトークイベントを開催した。会場と目と鼻の先にある横浜BUNTAIで6月16日に開催される初防衛戦の勝利を、集まったファンに誓った。

▲6月16日に横浜BUNTAIでNOAHのこけら落としが開催される

NOAH業界1位のための第一歩としての「勝利」

5月4日の両国国技館大会でイホ・デ・ドクトル・ワグナーJrを破り、3度目の同王座戴冠を果たした清宮。だが2日後、日本プロレスリング連盟主催「ALL TOGETHER」日本武道館大会のメインで勝利をあげたあと、新日本プロレスのゲイブ・キッドに急襲され、ベルトを持ち去られてしまった。

本来ならば、この日のイベントも集まったファンのためにベルトを持ってきたかったはず。翌日の前哨戦タッグマッチで取り戻したものの大流血に見舞われるなど、その怒りはビタ一文収まっていない。

「ゲイブとは昨年のG1 CLIMAXで当たったときが両者リングアウトで、そのあとタッグリーグ戦でもリングアウト絡みで向こうが負けて、常に乱闘になっている。GHCのベルトを獲るのが夢だと言うけど、同世代だから(清宮が1年上だがタイトル戦時は同じ年齢)潰しておきたいが本音だと思います。ああいう手段を選ばないタイプは、僕が描くプロレスラー像とまったく反するんで、自分が倒さなければあのやり方が正しいとなってしまう。

G1から新日本プロレスへの参戦を続けてきたなかで感じたもの、痛感した思いがあって、そのうえでもっと変えていけるんじゃないかと思ったのが、革命を起こしたい気持ちにつながった部分がある。新日本の選手に勝つことによって、今の自分をより広くアピールできるし、NOAHが業界で一番になると言っていますけど、それを現実にするためにも勝ちます」

▲今までのプロレス人生を振り返る清宮選手

横浜文化体育館からリニューアルされた横浜BUNTAIには、NOAHとして今回が初進出。そこは清宮にとって、史上最年少の22歳4か月でGHCヘビー級王座を戴冠を果たした地だ。それ以外にもまだ若手だった頃、鈴木みのるとシングルマッチを戦ったのが(2016年10月23日)、追憶のなかへ深く刻み込まれているという。

プロレスラーのなかには、内藤哲也のような“会場マニア”はけっこういるものだが、清宮は“控室マニア”使いやすさや、どこに洗面台があるかといったところが気になるらしい。そういったポイントを把握すると、出番前にやるべきことがスムーズに進むから重要だと主張する。

仲間でありライバルでもあるALL REBELLION

ファンの前で話すのは久々のチャンピオンだったが、開催が発表されるや満席となったため、急きょ2部制で開催されることになった。1部はスーツで決め、2部では新調したばかりのフルコスチューム姿で登場すると、会場からは歓声が沸き起こった。

▲2部はコスチューム姿で「プロレスLOVE」ポーズをして会場を盛り上げた

「(コスチューム姿で)入場したら、スイッチが入った感がありましたね。シルバーにしたのは西洋の戦闘映画を見たときに、プロレスも戦国時代のようだと常に思っていたので、甲冑のようなコスチュームにしたいと思ったんです。ベルトを獲ってヴァージョンアップしたんですけど。皆さん、気づきました?」

両肩の箇所が、より甲冑らしいデザインになっており、ファンからも「カッコいい」の声が飛ぶ。拳王やアレハンドロ・クリストバルら、ALL REBELLIONのメンバーたちもシルバーで統一されている。

長きにわたりライバルとして闘い続けてきた拳王だが、NOAHに、さらにはプロレス界全体に革命を起こすという共通の目的を持ったことによって、心の距離感が縮まった実感が得られている。先日、YouTube『拳王チャンネル』に出演し、久々に“普通の話をした”のが新鮮だったようだ。

「でも、(拳王が)面倒くさいのは面倒くさい」と苦笑しつつも、ALL REBELLIONは個性を大事にする方針のため、各自が好きなように主張すればいいというのが清宮の考え。いまだ謎めくマスクマン・クリストバルとは、あえて会話しないことでヴェールに包まれたキャラクターをユニット内でも共有していくつもりでいる。

▲“面倒くさい”拳王とのエピソードも笑顔で語った

長州力の維新軍団、天龍源一郎の天龍同盟など、プロレスはレボリューションによって新たな時代を築いてきた。 “REBELLION”の意である反乱・ 反抗から転じて、「革命」そのものをユニット名に込めたあたり、自分たちで宿命を課したことになる。

「もちろん、プロレスの歴史にもあると思いますけど、自分がずっと変えたいと思ってきたのが言葉になったときにそうなった。だから、言葉よりも気持ちと行動のほうが大事だと思っています。それが形になっていくのを楽しみにしてほしいです」

ファンとの交流も続けていきたい

今回のイベントでは、清宮選手の大好物であるトマトを使った料理が参加者に振る舞われた。第1部は牛肉を卵とともに炒めたもの、第2部はアツアツのパスタ。

▲有名シェフが手掛けた特別メニューには絶賛の声が上がった

料理が運ばれてくるや、GHCヘビー級王者・清宮もファンの前で無防備なほどに目の色が変わった。チャンピオンと同じものを同じ空間で食べたことにより、この日、集まったファンもタイトルマッチにおける応援の熱量がより高まったはず。

「食(しょく)って、人を元気にさせるじゃないですか。今、ベルトを奪われてピリピリしている状態ですけど、こうやっておいしいものを食べて、みんなと共感し合えるって初めての試みだったんで、ディナーショーや食べ歩きツアーをやってみたくなりました。もっと距離を近づけて、みんなでつくっていこう!っていうのが、自分のテーマです」

後半の質問コーナーでは「彼女にするならどんなタイプ?」「プロレスラーになっていなかったら、どんな職業についていたか?」といった質問が飛んだ。それぞれの回答は「純粋な気持ちに惹かれます。映画を見て涙が出ちゃうような方」「eゲームのプレイヤー。本当にゲームが好きで、近くにゲームセンターがあるっていうので高校を選んだぐらい」だった。

また「拳王選手との試合で一番印象に残っているのは?」の質問には「即答で先日(4月11日)の後楽園。これまでも拳王とは思い出に残る試合ばかりだったんですけど、それを更新したと思いました。今までで一番感情を出せて、お客さんにも伝わっていると反応を見て感じたので」と満足げな表情を浮かべた。

最後はプレゼントが当たるじゃんけん大会で盛り上がり、トーク後は撮影会にも応じ、一人ひとりのファンへ笑顔を送っていた清宮。

「やっぱり、記事とかだと文字数も限られますけど、イベントは自然な状態で皆さんとの会話のキャッチボールができるのがうれしいですよね。試合ではスイッチも入っていて相手を見なければいけない、こういう場ならお客さんを向いて言葉を伝えられる。なにより、ここでつながった思いをそのまま持って、試合に臨めるのがいいですよね。こういう機会は、これからも続けていきたいです」

▲清宮選手の雄姿を見届けるべく横浜BUNTAIに足を運ぼう!

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