日本で「年収600万円」は高収入? 実際余裕のある生活は送れるの?「手取り・生活費」を解説

年収600万円超は全体の約22.6%

国税庁が実施した「令和4年分 民間給与実態統計調査」を参考にすると、1年を通して勤務した給与所得者の平均給与は458万円ということが分かります。

この結果からも、年収600万円超の人の場合、平均年収よりも31%程多くの給与収入を得ているようです。続いて、図表1にて給与階級別分布の分布を確認しましょう。

図表1

国税庁 令和4年分 民間給与実態統計調査より筆者作成

同調査の調査結果である図表1を参考にすると、年収600万円超の人は上位約22.6%と分かります。「年収600万円超の人はおおよそ5人に1人しかいない」のですから、「比較的高収入」といえるでしょう。

年収600万円の人の手取り金額目安

扶養家族の有無などの状況次第ですが、一般的には年収の約75~85%相当が手取り金額の目安であり、年収600万円の人の場合は約450~510万円が手取り年収です。

単純計算で月額にて換算した場合、約37万5000円~42万5000円です。

1人暮らしであれば東京23区でも余裕のある生活が送れそう

前記手取り金額をもとにした場合、東京23区での1人暮らしでは、幅広い賃貸物件から住まいを選ぶことができそうです。一般的な家賃相場は「手取り金額の3分の1以内」といわれています。

そのため、年収600万円の人の手取り月額を仮に「36万円」と想定すると、「約12万円」以内が相場でしょう。すると、差し引き「24万円」はお金が残ります。

費用内訳は人それぞれ異なりますが、水道光熱費や、通信費、交際費、都会では高くなりがちな食費などを差し引いたとしても、十分に貯蓄ができる水準ではないでしょうか。

年収600万円は税制面でもお得になりやすい水準

「稼ぎすぎると税金面で損をする」といわれますが、年収600万円は、税制面でお得になりやすい水準といえます。理由としては、「所得税率が10%ギリギリにとどまりやすい水準」だからです。

所得税は累進課税であるため、課税所得が大きくなるほど税率も上昇します。課税所得は額面年収ではなく、各種控除を差し引いて計算されるため、扶養家族の状況など、人によって異なります。

多くの場合、年収600万円の人の課税所得は約300万円であり、税率は10%で済みます。課税所得が330万円を超えてしまった場合には、税率が20%に上がってしまいます。

そのため、年収600万円は比較的高収入でありながら、税率が上がるギリギリの水準であるため、「コスパがいい年収」と表現できるかもしれません。

年収600万円は比較的高収入といえる

年収600万円超の人は給与所得者の上位約22.6%であり、比較的高収入であるといえます。東京23区であっても、1人暮らしであれば、幅広い選択肢の中から住まいを選ぶことができ、生活スタイルにもよりますが、貯蓄も十分に可能でしょう。

また、税制面においてもお得になりやすい年収です。600万円への年収アップを目指している人は、副業や転職活動などを視野に入れてみてもいいかもしれませんね。

出典

国税庁 令和4年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-
国税庁 No.2260 所得税の税率

執筆者:小林裕
FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート

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