北海道では今年、様々なものが100周年を迎えています。
道内外から多くの人が訪れる観光スポットに、定番のあのおみやげまで。
盛り上がるマチを取材しました。
先月25日、鹿部町で行われた記念セレモニー。
噴火湾産のホタテをふんだんに使った味噌汁が振る舞われるなど多くの人が訪れていましたが、みなさんのお目当ては…鹿部町の観光名所としておなじみの間歇泉です。
今年で発見から100年を迎えました。間歇泉が噴き上がったのは1924年5月。
町内の建設会社・吉建設の創業者=吉勇作さんが温泉旅館建設のためボーリング調査をしていたところ、偶然、間歇泉を掘り当てたのです。
吉勇作さんのひ孫で吉建設4代目の吉康郎社長。かつての間歇泉について次のように振り返ります。
■吉建設吉康郎社長:
「変わった温泉が出ているなと、公園とかにもなっていませんし、旅館の源泉、金網がかかっている程度で、通りすがり、上がっているなというくらいで、観光資源という位置づけではなかったですね。」
その後、1998年には温泉旅館が廃業。
町は観光資源にしようと、温泉旅館の土地を買い取り「しかべ間歇泉公園」が開業しました。10分から15分間隔で噴き上がる間歇泉は、足湯に入りながら楽しめる道の駅として、鹿部町を代表する観光スポットとなっています。100周年を機に先月、新たな飲食店がオープン。「湯けむり処しかべ焼き」です。
■道の駅しかべ間歇泉公園田中健太郎さん:
「お待たせしました、こちらしかべ焼きですね」
Qこれはどのようにして食べるんですか?
「となりにお出汁コーナーがありますので、好きなだけお出しを注いで完成になります、熱々をお召し上がりください」
■坂詰怜記者:
「あ、これですね、御出汁コーナーと書かれています。下には蛇口がついていますね。」
道の駅で人気のコンブ出汁を蛇口からひねって完成。
兵庫県の名物=明石焼きをモチーフに作られたしかべ焼き。
生地の中には町内でとれたタコやホタテが入っていて、鹿部の海の幸を手軽に味わえる一品です。
■坂詰怜記者:
「生地がすごいふわふわですね、蛇口で入れたコンブ出汁との相性も抜群です。」
■道の駅しかべ間歇泉公園田中健太郎さん:
「間歇泉も100年を迎えたというとことで、これから先もずっと噴き続けていきたいとおもっているんじゃないかなと思っているので、ぼくたちもそれに乗っかって、勢いを止めることなく、どんどん盛り上げていきたいなと思っています」
***
続いての100周年は噴火湾と日本海の両方の海に面した八雲町に。
北海道土産の定番「木彫り熊」が誕生してから今年で100周年を迎えました。
■八雲町木彫り熊資料館大谷茂之さん:
「そもそも八雲町が尾張徳川家の旧家臣団が明治11年にこちらに移住してきた、それで徳川農場という農場ができまして。」
きっかけとなったのは、八雲町を開拓した尾張徳川家の徳川義親がスイス旅行の際に購入した木彫り熊。これに目を付けた徳川義親は「農家の冬の間の副収入になる上、趣味を持った豊かな生活ができる」と考え、農家に作らせることにしたのです。
こちらが、1924年に八雲町の酪農家=伊藤政雄さんが制作した北海道第1号の木彫り熊。徳川義親がスイスから持ち帰ったものに寄せて作りました。これを機に全道各地に木彫り熊の文化が広がっていくことになったのです。
■八雲町木彫り熊資料館大谷茂之さん:
「道内各地、札幌、白老、北見だったり、いたるところで民芸品店が大量生産、一度に6体掘れる機械を導入して掘っていくことによって、たくさん木彫り熊が売れていく、その中で、鮭をくわえたクマが定番化して。」
100周年を機に木彫り熊に再びスポットライトを当てようとする動きが起きています。
■kodamado青沼千鶴さん:
「これは御朱熊印マップといって、わたしたちで作っているものなんですけど、八雲町内でクマを置いているお店を紹介しています」家族の仕事をきっかけに八雲町に移住してきた青沼千鶴さん。
司法書士をしながら、2021年には木彫り熊の魅力を発信するショップとギャラリーをオープンしました。
■kodamado青沼千鶴さん:
「木彫り熊の人気が高まってきて、八雲の木彫り熊が注目されて資料館の方に多くの人が来てくれると感じていた。
せっかく来ていただいたなら街の中をめぐってほしいというのと、買って思い出として持って帰りたいだろうなということで」観光客に町内の木彫り熊を置いている店を回ってほしいと、スタンプラリーを考案。
3つ以上を回るとオリジナルのステッカーをプレゼントしています。
木彫り熊を自ら製作しようとする動きも出ています。
八雲町出身の田中由希子さん。
町の伝統をなくしてはならないと、5年前から木彫り熊の製作を始めました。
八雲町出身の田中由希子さん。
■田中由希子さん:
「家にあったんですよ、おばあちゃんのお兄さんが掘ってたのはずっとあって」「怖いと思っていて改めて見たら、顔とかめっちゃかわいくて」
町の伝統をなくしてはならないと、5年前から木彫り熊の製作を始めました。
■田中由希子さん:
Q彫っているときはなにを考えている?
「ないです、すごい無心になるのが不思議なんですけど。ただただ、これがクマになれって思ってるだけなんですよね、掘ってるときって」
■kodamado青沼千鶴さん:
「街に人が来てほしい、街の価値を掘り起こすということもあるんですけど、私たちが楽しんで、おもしろがってやっているという感じなので。」
100周年を迎えた街の財産。
見つめ直し、活用する動きが活発化しています。
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