通算4勝ジャック・ニクラスと日本人選手の関わり/いまさら聞けない全米オープン(4)

1980年の全米オープン。青木功(右)と死闘を演じたジャック・ニクラス(Photo-by-Phil-Sheldon Popperfoto Getty-Images)

◇メジャー第3戦◇全米オープン 2日目(14日)◇パインハーストリゾート&CC パインハースト No.2(ノースカロライナ州)◇7548ヤード(パー70)

「全米オープン」の優勝者に贈られる栄誉の証は優勝トロフィーの他に、金メダルがあります。2週前の「全米女子オープン」で優勝した笹生選手がかけたものと同じようで、男子ではジャック・ニクラス・メダルという愛称。もともと1895年の初回大会から恒例の品になっていましたが、2012年に全米ゴルフ協会(USGA)がニクラスの功績をたたえて改名、スイングする様子をデザインに落とし込みました。

それほどの功績を挙げたニクラスとはどんな人物でしょうか? 1940年生まれの84歳は今も健在。日本では「ゴルフの帝王」という異名がつけられていますが、米国では帝王に相当する「エンペラー」等で呼ばれることはありません。愛称は金髪にちなんだ「ゴールデン・ベア」。ポロシャツなどについた金色の熊のロゴに馴染みがある方もいるかもしれません。

前年大会覇者ウィンダム・クラークの胸に輝くジャック・ニクラスメダル(撮影/中野義昌)

メジャーで通算18勝。誰も成し遂げたことのない最多勝利で、タイガー・ウッズも3勝及びません。4つのメジャータイトルすべてを持つ「キャリアグランドスラム」達成者で、米国のスーパースターだった故アーノルド・パーマー、南アフリカのゲーリー・プレーヤーとの“ビッグ3”は1960年代以降のゴルフ界を牽引する存在でした。

4勝を挙げた全米オープン。1980年大会でニクラスと歴史に残る優勝争いを演じた日本人選手が青木功でした。予選ラウンドから決勝ラウンドまで4日間72ホールを一緒にプレー。最終日をともに6アンダーの首位からスタートし、最終的には2打差でニクラスが勝ちます。開催された会場から「バルタスロールの死闘」として、日本のゴルフファンの間では語り草になった名勝負でした。

現在もゴルフ界の顔として後人を見守っており、故郷のオハイオ州コロンバスでPGAツアーの「ザ・メモリアルトーナメント」を開催しています。2014年、当時22歳だった松山選手が米国で初めて優勝した試合です。

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