こんな登山者はイヤ! テント泊「快眠の天敵」3つの「NG就寝マナー」実体験レポ

登山者同士でマナーを守って快適なテント泊登山を楽しみたい(撮影:伏見みう)

テントとシュラフ、水や食料、最低限の着替えを担いで、山小屋に併設されたテント場で宿泊するテント泊登山。重い荷物を担いで歩いた後、自分のテントの中でのんびり過ごし、夕焼けや星空、朝焼けを眺める時間は格別のひと言だ。

山小屋泊や日帰り登山とはまた違った楽しみが味わえるテント泊登山だが、登山者同士でマナーを守らないと快適に過ごせず、疲れが溜まって翌日に響くことも。

今回は筆者が体験したテント泊登山の就寝時のNGマナーについて紹介しよう。

■テント泊登山での「NGマナー」3選

① 日が昇る前に出発する際に大声で話す、音を立てる

テント泊登山で利用するテント場は周りと近い距離でテントを張ることも多く、会話や調理の際などに大きな音を立てないのが基本のマナー。特に日没後や日の出前は就寝している人も多く、注意が必要である。

登山の行程によっては日の出前に出発する登山者もおり、その場合は特に音を立てないよう準備を整える必要がある。にも関わらず、日の出前の暗い時間に大声で行き先を確認し合い、大きな音を立てながら朝食を食べ、冗談を言い合って笑い合うグループに遭遇したことがある。

声が大きいため目を覚ましてしまい、その後もなかなか寝付けなかった苦い思い出だ。テントの出入りや登山の準備には少なからず音が出るものだが、ある程度配慮されていれば「お互いさま」なので不快にならず、モヤモヤした気持ちにもならない。

しかしながらこの時はあまりにも声が大きく、周りの登山客もわざわざテントから出て小声で注意していたほど。暗いうちに出発する際は普段以上に音を立てないように気をつけて、お互い快適なテント泊ができるように心がけよう。

② テントのロープに足を引っ掛け、謝罪なしに通り過ぎる

人気の山にあるテント場は混み合うことが多い。登山客どうしのテントもすぐ近くに設営せざるを得ない状況もしばしばある。

数年前のテント泊をしていた際、明け方近くにテントが揺れて水滴が落ちてきて目を覚ましてしまったことがある。他の登山客が筆者のテントのロープに足を引っ掛け、その振動でテントの天井に結露した水滴が顔に当たって起きてしまったのだ。この時はテント場が混雑していたこともあり、同行していた友人らのテントのロープも同じように足を引っ掛けられて目を覚ましたとのこと。

薄暗い中テント場を歩く際、他人のテントのロープやペグに足を引っ掛けてしまうことは稀にある。小声で謝罪するなどがあれば仕方がないと思えるが、この時は何も言われず「足を引っ掛けてしまった」と同行者と笑い合いながら通り過ぎられたのでかなりモヤっとした。

この時の経験から、テントのロープには蓄光式のテンショナーを使うことで、暗い中でもロープを視認しやすくなるよう対策をした。筆者も他人のテントのロープやペグに足を取られかけたことがあるので、テント場を歩く際は注意するように心がけている。

③ 他の登山客、テント内をヘッドライトで照らす

薄暗いテント場を歩く際、ヘッドライトをつけて移動する登山客は多いだろう。夜中にトイレに行く際や夜明け前に出発する際、テント内で探し物をしたり準備をする際にヘッドライトは非常に便利である。

便利である一方、ヘッドライトの光は意外と強く、顔を動かしたり振り返った際に他人を照らして不快な思いをさせてしまうことがある。仲間内でも不意にヘッドライトで照らされると、苦言を呈すこともあるほど。

テント泊をしている際、誤って他の登山客やテントを照らしてしまうと、就寝を妨害してしまうことがあるので注意が必要だ。夜明け前に同じテントで就寝している夫の呻き声で起きたことがあり、何事か尋ねるといきなりテント内が明るく照らされて起きてしまったとのこと。

どうやら夜明け前に出発する他の登山客が誤って、筆者らのテントを強く照らしてしまったとのこと。暗い中ヘッドライトを付ける際は、他の登山客の就寝を妨げないよう注意しよう。

■マナーを守って、快適なテント泊を楽しもう

必要な装備をバックパックにつめて、山中で一晩を過ごすテント泊。荷物が重くていつもより体力を消耗し、少し心細い気持ちになることもあるが、満点の星空、息を呑むほど綺麗な日の出や雲海を眺めるなど、テント泊登山でしか味わえない楽しさがある。これから始まる本格的な登山シーズンでは、多くの登山客がテント泊を行うことだろう。

テント泊登山ではマナーを守って他人の就寝を妨げないよう、お互いに快適に過ごせる心遣いが大切だ。この夏はマナーを守って、快適なテント泊登山を楽しもう。

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