ゲストルームを民泊利用、理不尽クレームも…タワマン営業が語る“激ヤバ住民”【後編】

※写真はイメージです(写真:PIXTA)

洗練された都会的なイメージから憧れを持つ人も多いタワマン。いっぽうファミリー向けに販売された「晴海フラッグ」では、3割以上の部屋で居住実態を確認できないというニュースが報じられたばかり。

タワマンといえば住民同士のトラブルが浮き彫りになることも多々あり、ネガティブな話題にも事欠かない。そんなタワマンには不動産会社を困らせる住民も少なくないという。

都内の不動産会社の営業になって8年目だというAさんは、近年タワマンの販売営業に従事しており、タワマンを求める数多の顧客と接してきた。モデルルームや、購入希望の問い合わせで理不尽なクレームを受けることは珍しくないが、購入後もトラブルは尽きないという。

「最近の悩みの種は、タワマンのゲストルームを民泊として勝手に貸し出しする住民です。ゲストルームは共有部分であるため、それを利用して私的に金銭を得ることは許されていません。

しかし、週末になるとマンションで見たことのない人たちがゾロゾロと現れて、スーツケースをガラガラと引いて、ゲストルームに泊まっていく。その多くはアジア系外国人の方で、どうやらマンションに住んでいるアジア系外国人の方がゲストルームを民泊として貸し出しているんですね。

ただゲストルームはホテルとは違って、基本的に寝泊まりするためだけに作られています。アメニティが揃っているわけでもありません。そのためゴミの量が異常だったりすると『これは民泊だな』と他の住民の方が気づいて、弊社にクレームが届くこともあります」

そんなAさんはタワマンを購入した顧客からの、理不尽なクレームに遭遇することもしばしば。特に駐車場関係のクレームは非常に多く、「話題に事欠かないですね(笑)」と話す。

全住戸分の駐車場が設置されているタワマンは珍しい。Aさんによると近年マンションは契約後に引き渡しをし、その段階で駐車場の抽選をする。つまりマンションの契約をしていても、駐車場に車を置くことができるかどうかはわからないのだ。

「多くの場合で、すべての住民の方に駐車場が用意されているわけではないので、駐車場を確保できるかどうかは、お客様にとってある種の博打。ですから、契約の際に『駐車場を確保できるか確証はありませんが、よろしいですか』と念を押して確認するようにしています。

ですが、みなさん『どうせ当たるだろう』とタカを括っていらっしゃるんでしょうね。落選した後、こちらにクレームが入るのですが、その内容が『病院に通うとき車がないから困るんだけど?』『車がないと引越しできないじゃないか!』というもの。ご理解いただけるまで、何度も『契約の際にお伝えしていると思いますが……』とお話しします。それしかありません。

また駐車場に当選した方からも『申し込んでいない区画が当たったんですけど』とか『当選した区画が思っていたのと違うから場所を変えてほしい』といったクレームが入ることも。『車のサイズが入らないんですけど!』と怒られたり、なかには『自分の部屋から近い区画にしてほしい』と言われたこともあります」

他にも内覧の際に「フローリングの柄が気に入らない。変えてほしい」という人や、入居後に「コンロがこんなに汚れるのはおかしい。資産価値が下がるじゃないか」というクレームをつける人もいたという。

タワマンへの強い憧れは、強烈なクレームと表裏一体なのかもしれない。

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