やせすぎてやめた!? 「インターミッテント・ファスティング」とは? アメリカ在住のトレーナー大熊理奈さんに聞く

By 大熊 理奈

「FYTTEヘルスケアトレンド2024」のトレンドワードのひとつとなっている「エンタフィット2024」。これは、「エンタメ」×「フィットネス」を意味するFYTTEの造語で、最近増えている、楽しむ要素や気軽さを打ち出した新しいフィットネスを指しています。そんな中、YouTubeで「ピラダンス」などの動画を発信しているアメリカ・アリゾナ在住のトレーナー・大熊理奈(リナ・オオクマ)さんに注目! 第3弾の今回は、3年間続けたものの、やせすぎてしまったためにやめたという「インターミッテント・ファスティング」について詳しくお聞きしました。

セレブもハマったインターミッテント・ファスティングって?

――インターミッテント・ファスティングについて教えてください。
インターミッテント・ファスティング(断続的断食)は、毎日の食事を特定の時間枠内に制限する断食の総称です。週の2日断食して、残りの5日はいつも通りの食事をする「5:2ダイエット」や、1日の食事をとる時間を8時間以内に制限し、残りの16時間を断食する「16:8ダイエット(16時間ファスティング、8時間ダイエットとも)」が有名です。

私は16時間ファスティングをやっていたのですが、きっかけはコロナ禍の2020年、アメリカで多くのセレブがやっていたからでした。元々ファスティング(断食)は知っていましたが、酵素ドリンクしか飲まない断食や1週間水だけの断食などは、絶対にムリだと思ってやったことはありませんでした。でも、16時間ファスティングは時間を区切るだけで、8時間以内だったら甘いものでも何でも食べてよく、カロリー制限もないので、「これならちょっとできるかも!」と思って始めたら、3年も続きました。

――大熊さんは、どんなスケジュールでダイエットしたんですか?
私は、昼の12時~8時を食べる時間にして、それ以外をファスティングの時間にしました。朝食を食べなくなったので、すごく胃が小さくなって、1年で5~6kgもやせました。

1年で5~6kgもやせ、集中力もアップした「インターミッテント・ファスティング」のメリット

――もともと太っていないのに、1年で5~6kgも体重が落ちたのはすごいですね!
そうなんです。アメリカへ来て、最初の3か月は食生活の変化などがあり、少し太りましたが、そのあと、大学のフィットネスセンターで自分のクラスを持つようになり、有酸素運動がめちゃくちゃ増えたので、5kgくらいやせたんですよ。そのあとにこのインターミッテント・ファスティングをやって1年でさらに5~6kg落ちて。

――「インターミッテント・ファスティング」のメリットを教えてください。
インターミッテント・ファスティングは胃や腸を休めることで、インスリン抵抗性の改善に役立つとされるほか、脂肪燃焼しやすい体になるとか、脳が活性化する、病気になりにくいなどといわれています。私がもっとも実感したのは、朝の集中力が上がったことです。胃が小さくなって朝の空腹が気にならなくなったことで、脳が消化に気をとられることがなくなり、午前中の事務作業などがすごくはかどるようになりました。あと、メリットとしては、自分の食生活を見直すいい機会になったことです。せっかく16時間ファスティングやっているので、むやみやたらに食べても意味がないと思い、より体にいいものをとり入れようという意識に変わりました。

――それが3年も続けられたのもすごいですね。
本当にムリのないファスティングだったので、続けることができました。もちろん、夜の8時以降に食事の誘いなどが入ってしまった場合は、時間調整しましたが、よく続いたと思います。

やせすぎた?「インターミッテント・ファスティング」を辞めた理由

――そんな「インターミッテント・ファスティング」は、やせすぎてやめたそうですが?
そうなんです。胸が貧相になってきてしまったりして。それと、コロナ禍にアメリカでtiktokが流行った時期に、英語圏の人向けに英語で動画を作り、tiktokで発信していた時期があったんです。でも、英語圏で好まれる体型って、日本やアジア圏の人たちとはまたちょっと違っていて。当時の私の体型は、日本人受けはよかったのですが、その体型でフィットネスのハウツー動画を発信しても、「こんな貧相な体の人に言われても、説得力がないよね」っていうコメントがありまた。

私の体って貧相になっちゃったんだと感じて、じゃあもうちょっと筋肉をつけようと思いました。やせたのはいいけど、筋肉がなかったらキレイな体には見えないんだということに気づきました。それで、増量じゃないですけど、インターミッテント・ファスティングをやめて、きちんと3食ご飯を食べることにしたんです。

――アメリカで好まれる体型は日本とは違ったんですね。
典型的な話になりますけど、アメリカで好まれる体型って、やはり、ほどよく筋肉がついていて引き締まっている体なんです。とくにフィットネス界では、お尻が大きくて、胸もしっかりあって、腹筋が割れてるみたいなイメージです。

――日本では、とにかくやせたいと思ってダイエットする人が多いと思うのですが、どう思われますか?
私が筋肉を増やそうとしたとき、体重が5kgくらい増えたんですね。そうすると、YouTubeを見た日本の人から、「なんか顔が太った」とか「どうしたの? 大丈夫?」みたいなコメントをいただいて(笑)。なんか太ったらいけないのかなという錯覚に陥ったんです(笑)。そこで気づいたのが、自分がなんのために体作りをしているのか、ということでした。

自分の体なのに、ほかの人に言われたからやせなきゃいけないとか、他人の評価によって体作りをするのっておかしいのでは?ということに気づけました。そこから、では何のために体作りをするのかを考えました。結局、私は何歳になっても病院いらず、病気知らずで、健康で長持ちする体を作るというのが、トレーニングをする目的だと思ったんです。そこから、あまりやせることがいいという風に思わなくなりました。

昨年、私の祖母が80歳になったとき、アリゾナに遊びに来てくれたんです。おばあちゃんになっても、自分の子どもや孫と一緒に海外旅行ができて、行きたいところに行ける健康な体があることがすごくすばらしいことだなと思ったんです。しかも、おばあちゃんはやせることなんて全然考えていません(笑)。そんな姿を見ていたら、そんなにやせることにとらわれなくてもいいんじゃないかなと実感しました。自分が満足する長持ちする体を作ることがいちばん大事なのではと考え方が変わりましたね。

たしかに健康で長生きできるのが最善ですよね。たとえ長生きできても、病気がちでは、楽しみは半減してしまいます。次回は第4弾として、アメリカで生活している大熊さんに、アメリカのウェルビーイング事情や、今後の目標などについて伺いました。
お楽しみに!

YouTube「リナ・オオクマ【Rina Ohkuma】」
https://www.youtube.com/channel/UC3D2Id9EjpEiU2eXHe-Izlg

取材・文/奥沢 ナツ

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