何でも自分の思い通りにしたがる子の対応方法は?サポートの例をご紹介!【発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK】

何でも自分の思い通りにしたがる

思い通りにならないことがあると、怒りが爆発!周囲にいる人をたたいたり、ものを投げたりと、攻撃的になってしまうこともあります。

例えば、こんな状況

Iくんは、おともだちと鬼ごっこに夢中。「お昼の時間だからお部屋に戻ろう」と保育者が声をかけると、怒っておもちゃを投げてきました。

あなたならどうする?

1.「じゃあ、もう少しやっていいよ」と特別に許す

2.「これは先生が決めることだよ」とはっきり伝える

【解説】おすすめは2!

「一日くらいは少し譲歩してもいいかな?」と迷いが生じるかもしれませんが、「泣いたり怒ったりしたら意見が通った」「大騒ぎしたら思い通りになった」と学習させてしまうのは、本人の成長にとってマイナスになりかねないこと。一度決めたルールや約束事を安易に曲げることは、できるだけ避けるよう心がけましょう。

考えられる背景

「僕が嫌って言ったら、絶対に嫌なんだ!」

自分がしたいと思ったら何でもその通りにできる――。こうした考えから抜け切れず、他者に決定権があることが分からない段階です。

こんな声かけ&サポートをしてみよう!

「決めるのは先生」だとはっきり伝えて

お昼の時間(遊びの終わり)を決めるのは大人の役割であり、その子ではないことをはっきり意識させる必要があるでしょう。つまり、「決定権が誰にあるか」を教えるということです。

もちろん、園生活では子どもが自由に決められることもたくさんあるので、両者を並行して伝えていきます。次第に、自分が決定できることと、そうでないことの区別が付いてくるはずです。

考えられる背景

「せっかく楽しかったのに、やめたくないよ」

気持ちよく遊んでいたのに、時間だからと終わらせることに納得がいかず、あきらめ切れない気持ちになっているとも考えられます。

こんな声かけ&サポートをしてみよう!

その子に共感しつつ「仕方ない」を教える

まずは「もっと遊びたかった」という思いそのものに共感してあげるといいでしょう。「保育者に理解してもらえている」という安心感によって落ち着けることもあります。

その上で、思い通りにいかないという体験を乗り越えるために、「仕方ないんだ」「残念だね」といった言葉を投げかけてみましょう。上手にあきらめる方法を学び、気持ちを仕切り直すのに有効な一言です。

ほかにもたくさん!サポート声かけ例

・〇〇を決めるのは大人だよ

・おしまいだね

・楽しかったんだね

・続きはまた明日ね

【出典】『発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK』著:湯汲英史

【書籍情報】
『発達障害の専門家が教える 保育で役立つ気になる子のサポートBOOK』
著:湯汲英史

幼稚園や保育園で言葉や行動や少し「気になる子」はいませんか?落ち着きがない、ずっとボーっとしている、「わからない」が多く、会話が成り立たない、すぐウソをつく、他の子や保育者をベタベタ触る……など。そのような気になる行動や言葉を発する子どもたちのサポート法を多数の声かけ例とともに丁寧に解説。また、「気になる子」の周りの子どもたちにも焦点をあて、周りの子どもたちや親御さんへのフォローや対応策のほかにクラス全体が過ごしやすくなる環境づくりのアイデアを提案します。そのほか、園でのスムーズな連携の仕方や有効的な記録の取り方など、今すぐ実践したい保育で役立つ情報を豊富に収録。保育学生さんや新米保育士さんだけでなく、改めて「気になる子」のサポートについて考えたいベテラン保育士さんなど多くの方にぜひ手に取っていただきたい一冊です。

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