中国「反スパイ法」来月から強化…個人のスマホ・PC検査も? 進む監視の実態を取材

中国の空港に着いたらスマホやパソコンをチェックされるかも…そんな懸念の声があがっています。中国の「反スパイ法」による規制が来月から強化。進む監視の実態を取材しました。

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今年4月、中国はスパイ対策として新たな規定を発表しました。

中国のアナウンサー「本日、政府は『治安機関による法執行の手順に関する規定』を発表しました」

規定に含まれていたのは、個人のスマートフォンやパソコンを検査する権限を現場の当局者に与えるというもの。来月1日から始まります。

これにより、空港でスマホなどが強制的に調べられるのではと心配の声もあがっています。

出張で北京に来た男性「(ビジネスで)来にくくなりますね」

中国当局は「スパイ活動に関わりがない一般の人は対象外」などと強調していますが、外国企業は警戒を強めています。

中国国内で事業を展開 昭和商事担当者「海外出張用のパソコンを持たせたり、PCの中にデータを入れておかないということにして、クラウド上にあげているものを現地に着いた段階で提供する」

しかし、中国のSNSでは、「大げさ。全員を検査しないでしょう」「やましいデータを持っているからこそ、騒ぎ立てるのでしょう」などと意外にも冷静な受け止めです。

中国では人々の暮らしの隅々にまで当局による強力な監視が組み込まれているのです。

記者「交通違反のあった宅配業者の顔写真が(掲示板に)表示されました」

信号無視をするとすぐ掲示板に顔写真がさらされ、警察に出頭するまで消えません。

最近ではさらに…。駐車禁止の場所に車を止めると、すぐ所有者の携帯に「すぐ移動するように」というメッセージが届きます。防犯カメラに映った車のナンバーから瞬時に所有者を特定。当局が管理する膨大な個人情報から携帯電話も割り出して、数分以内に警告する仕組みです。

ハイテクの監視技術は交通違反の摘発だけでなく市民にも向けられています。

フリージャーナリスト・方斌さん「見てよ。鍵が入らないだろ」

フリージャーナリストの方斌さん。自宅の鍵穴を勝手にかえられていました。当局の意向を受けた嫌がらせです。

方さんはこれまで当局に都合の悪いニュースも発信。一時は逮捕、収監されました。出所後、職場の前には監視カメラが設置され、自宅は何度引っ越しても、なぜか居場所を把握され、圧力が続きます。

――Q.あなたの行き先はすべて当局が把握しているの?

方斌さん「どこに行っても全部知ってる」

なかば諦めたように語る方さん。

方斌さん「中国では至る所に監視カメラがついていて、どこに行っても監視カメラがついているのは事実」

それでも、監視によって自由が奪われる社会が変わる日を待ち望んでいます。

方斌さん「表現の自由があって、平和で文明的な環境なら、監視カメラは要らないと思う」

そのため発信を続けるという方さん。監視強化の流れに転機は来るのでしょうか。

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